雑記帳

オタク医学生が思ったことを書くブログ

TVアニメ「CUE!」14話感想

こんにちは。

どんどん更新タイミングが遅くなっている気がしていますが、流石にこれ以上遅くなると放送に間に合わなくなってくるので次回はもうちょっと早く更新したいと思います。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

14話、なかなか攻めた回でしたね…(オブラートに包んだ表現)。まあ2クール24話もあるのでこういう回もあっていいとは思いますが、なぜこのタイミング?という気もしないではないです。全体を俯瞰して観ると言いたいことはわかるのですが、如何せん脚本と演出がかなりぶっ飛んでいたのでなかなか内容が頭に入ってこなかったような印象でした。

たくさんあるツッコミどころを一旦スルーして今回の話をまとめると、「自主配信として始めたラジオを続けていくうちにリスナーが増え、海外のリスナーまで現れた。そしてそんなリスナーから『一緒に仕事をしたい』というメッセージが届き、新しい仕事につながった」という感じでしょうか。インターネット配信だからこそ海外からも聴くことができて、このように思わぬところから仕事が舞い込むというのは今の業界らしい描写だったように思います。一方で、今回アニメ本編で主に描かれていた「一緒に仕事をしたい」というリスナー(以下本編に従ってまさぴー氏と呼びます)とコンタクトを取るまでの流れは非常にツッコミどころが多かった印象です。アニメという媒体で描くために膨らませたという事情はあるとは思いますが、普通に考えたら直接会いにいくよりも、そのメールをラジオ内で読んでさらなる情報を求めるとか、あるいはメールに返信するというのが現実的な手段です。それにも関わらずメールの文面にある断片的な情報からまさぴー氏の職場を割り出して凸する、というのは一歩間違えたら(というか既にだいぶ怪しい気もしますが)ストーカーとやってることが一緒なんですよね。パーソナリティとリスナーの立場が逆だったら大問題になっているところです。そしてそのメールに関しても、「自社で開発した翻訳ソフト」を使用しているから日本語がおかしくなったという事情だったようですが、果たしてその程度の精度の翻訳ソフトでラジオの内容が理解できているのかも謎です。まさぴー氏の会社は様々な国にメンバーがいて、その中で日本のメンバーが聴いていたラジオをきっかけに連帯感が生まれたという趣旨の発言をしていましたが、アニメならともかくラジオでというのはいささか不自然だと思ってしまいます。ラジオという媒体の性質上トーク内容を翻訳するのは難しいので、海外から聴くには日本語を十分聞き取れる必要があると思うのですが、まさぴー氏のメールやリアルタイム翻訳の精度を見る限り、トークの内容をちゃんと把握できているのか疑問があります。仮に英語→日本語の精度よりも日本語→英語の精度の方が高く、翻訳がうまくいっていたとしても、ラジオはアニメと比べて人と一緒に盛り上がるタイプのコンテンツではないと思うので、「ラジオをきっかけに一体感が生まれた」というのは日本人同士でもあまりピンとこないような気がします。実際のアニラジにも海外リスナーがいない訳ではないですし、海外リスナーから若干不自然な日本語のメールが送られてくることも時々ありますが、今回の描写はそこからヒントを得ているにしても少し無理があるかなという印象でした。

他にも突っ込みたいところはたくさんありますが、あまり書いても仕方ないのでこれぐらいにしておきます。逆に良かったところはWindの空気感はしっかり受け継がれていたところですね。特に率先して行動する莉子や、乗り気でない雰囲気を出しながらも付き合うまほろの辺りは特にそうですね。ガス欠のシーンやまほろの推理が冴えるところも原作を踏襲していましたし、あとはまさぴー氏の言う「一緒にしたい仕事」がどうなるのかが気になるところです。リアルタイムアニメーションシステムと言っていましたが、いわゆるVtuberのリアルタイムモーションキャプチャに近い印象だったので、仕事の内容もそれに近いのかなという予想をしています。これとリアルタイム翻訳システムを組み合わせれば全世界に生配信ができることになるので、今回の要素がちゃんと活きてくるのかなとも思います。

いろいろと気になることが多かった14話でしたが、今後がどうなっていくかによってまた評価が変わってくるのかなと思います。一方でFlowerとMoonのアフレコ組は1クール目同様に堅実にストーリーが進んでいきそうなので、そこと上手い具合でバランスが取れるといいなと思っています。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」13話感想

こんにちは。

またもや更新が遅くなってしまいましたが、1クール目で力尽きた訳ではないので2クール目も感想ブログを書いていきたいと思います。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

いよいよ2クール目に突入したアニメCUE!ですが、連続2クールの割には結構しっかり1クール目と2クール目の区切りをつけてきたなという印象ですね。12話でしっかりと1クール目をまとめていたので、2クール目はどういう始まり方をするのかなと思っていたのですが、良くも悪くも1クール目冒頭と近い印象の13話だった気がします。冒頭でいきなり劇中劇が始まって一瞬視聴者を混乱させる演出や、全員を集めてオーディションの告知をするあたりは1話と同様でしたし、全員がオーディションを受けている様子は2話を思い出しましたね。ただ、1クール目でキャラ紹介は一通り済んでいますし、オーディションもグループオーディションという形式であったことから、かなりテンポが早めになっていたのが1話・2話とは異なる点でした。アニメから入った視聴者の目線ではどうなのか分かりませんが、個人的にはキャラ紹介は諦めて最初からこれぐらいのテンポで進んでも良かったんじゃないかなという気もしました。

2クール目は1クール目で出番の少なかったWind・Moonを軸に進んでいくようですが、13話はMoonにスポットが当たっていましたね。現時点で唯一仕事がない(といってもWindの自主配信ラジオは果たして「仕事」なのかという疑問はありますが)Moonは今回ようやくアニメの仕事を勝ち取ることができた訳なのですが、オーディションの描写がなかなか面白かった印象です。グループオーディションというのが現実にどれぐらいあるのかは分かりませんが、存在しない訳ではないらしいのでその辺りはさておき、フリートークが3チームそれぞれの色が出ていて良かったと思います。果たして「フリートーク」なのかという疑問はありますが、要するにキャラクターの解釈が問われていた訳なので、歌うのもラジオを始めるのも、彼女たちなりの「解釈」を表現する手段としてはアリなのかなといった感じです。そんな中で、Moonの4人はフリートークとして口論をすることで表現していたのですが、これは初見だとどう映ったのか気になるところです。僕は原作から知っているので一発で演技だなと気づいたのですが、Aパート最後のところは初見だと本当に喧嘩しているように映った可能性もあるのかなという気がします。作り手としてはどこで気づかせるつもりだったのかは不明ですが、レッスン室のシーンであった聡里のチーズトーストのくだりを踏まえると、凛音の「毎日毎日同じ時間に同じもの食べてバカみたい」という台詞が本当に聡里に向けられたもののように聞こえなくもないのが面白いんですよね。凛音はそういうことを言うキャラではないということをわかっていればすぐ気付きますが、そうでなければ気づかないんじゃないかと思います。もっとも、緊迫感のないBGMや鳴が資料を持っていることに着目すると本気ではないことは分かるのですが、いいミスリーディングだったような気がします。そして、Aパートは演技と気づいた人も、ブース内での聡里の「最悪」からAパートで出た凛音の「今日という今日は〜」という台詞が出るまでのところは本当に喧嘩しているんじゃないかと思わされたんじゃないかと思います。敢えてフリートークに入ることを宣言しなかったことによって審査員に強い印象を与えるとともに、アニメの演出としても視聴者をミスリードすることで惹き込む効果があったのが良かったなと思います。フリートークに入ることを告げないのはどうなのかと思わないでもないですが、オーディションの台本にある部分は全部読んでいるはずなので、わざわざフリートークに入ることを宣言する必要は必ずしもないのかなとも思いますね。結局そのフリートークでの口論が評価されたのか、Moonの4名は無事オーディションを通過することができました。

ここで気になるのはWindの今後です。おそらく今回のオーディションを通過したのはMoonの4名だけだと思うのですが、一応ちゃんと「仕事」として活動しているBirdの面々はいいとして、Windはあくまで「自主配信」ラジオでしか活動していないのが気になります。自主配信である以上は仕事とは言えないと思うのですが、今後ここからどう仕事につながるのか、あるいはつながらないのかが気になります。OPではモーションアクターをしている様子が映っていたので、これがWindの仕事になっていくような気はするのですが、果たしてモーションアクターを声優がやる場面とはなんなのかとても気になります。14話はどうやら莉子がメインになるようなので、そこで明らかになることを期待しています。

13話は2クール目の導入、といった感じでそこまで深いエピソードではなかった印象ですが、今後は1クール目後半同様、それぞれのキャラクターの深掘りがされていくと思うので期待しています。2クール目直前PVのカットが思ったより早く回収されているのが気になりますが、それなりにシリアスな展開や原作で好きなエピソードがある気配もするので、2クール目も楽しんでいこうと思います。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」12話感想

こんにちは。

2クールの「CUE!」もついに12話ということで、もう半分終わってしまったのか…という気持ちとまだ半分もあるなという気持ちが同居しています。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

12話、めちゃくちゃ良かったですね…。ここまでの話をまとめつつ、同時に陽菜にフィーチャーして、本作のテーマである「声優のタマゴ」というサブタイトルで締めた1クール目の最終回を飾るにふさわしい回だったと思います。詳しくは後で書きますが、原作ファンというかこのコンテンツをアニメ化前から追っていた身としては特殊EDの「さよならレディーメイド」がアニメ制作チームの原作リスペクトを感じられて本当に嬉しかったですね。

今回は1クール目のストーリーの軸となっていた「花爛漫!ブルームボール」のアフレコがついに最終回を迎え、そんな中で陽菜が声優として新たな一歩を踏み出すことができた回でした。最終回にして初めて陽菜は「梅ノ木モモミ」という名前のある役を担当することになった訳ですが、5話を観ていればわかる通り、「ブルームボール」1話で登場した「生徒A」に名前がついたキャラクターで、新キャラという訳ではないんですよね。そのことは陽菜(というか出演キャスト)には知らされていなかったので、読者と同じタイミングで梅ノ木モモミというキャラクターを知ることになるのですが、これが明かされるタイミングがとても絶妙で、「ブルームボール」1話の放送直前なんですよね。要するに、原作で名前のなかったモモミをいきなりアニメに登場させると視聴者が困惑してしまうので、スピンオフという形でモモミというキャラクターをアニメ放送前に示しておくことができた訳です。一般にアニメ化においては尺の都合で過去絡みのエピソードやキャラクターはカットされることが多い印象ですが、「ブルームボール」はその逆で、原作では名前すらなかったモモミに名前とキャラデザをつけて登場させ、アニメと並行して連載されるスピンオフ漫画でツバキとモモミの過去を描くことで後半のツバキの心情描写(舞花が苦労していた辺りですね)に深みを持たせるということをやっていて、いいメディアミックス展開だな…とフィクションなのに感心してしまいました。そして、何より原作者の頭の中にしかいなかったモモミというキャラクターがこうして世に出たのは陽菜が声を当てたからなんですよね。ちょっと話が出来過ぎでは?と思った方もいたと思いますが、先日杉田智和さんがCUE!の第8話同時視聴会というのをYouTubeでされていたのですが、その中で「実際にそういうことはある」ということを冗談交じりに仰っていたので、実際にあることなんだと思います。

youtu.be

陽菜にとっては初めての名前のある役、しかもそれが自分の声をきっかけに生まれたキャラクターであるというのは本当に嬉しいことだったと思います。少しメタな話をすると、モブ役だったとしてもエンドクレジットに名前は載るのですが、「生徒A」として載るのと「梅ノ木モモミ」として載るのとでは全然意味が違ってくると思うんですよね。いちオタクとしての意見ですが、既に名前のあるキャラクターを担当した実績があった上でモブとして出演しているの方を発見した時は「おっ」と思いますが、全然知らない方がモブとして出演されていてもまず印象に残らないので、やはり名前があるとないとではその後の仕事に繋がるかどうかという意味でも全然違うと思います。

そしてアフレコ後の陽菜と原作の無量坂先生のやりとりは本当にグッとくるものがありました。陽菜はアフレコの休憩時間に自分の「夢」について語っていましたが、毎週アフレコに参加することはできていたものの、番レギとして目の前の役と台詞に精一杯でそのことを忘れかけていたと言っていました。そして、一緒にアフレコに参加する同期たちの姿を見て自分だけ遅れているような気がしていた、不安で逃げ出したくなることもあった中で、こうして初めて名前のあるキャラクターを演じることができたことで、ようやく声優としてのスタートラインから一歩を踏み出すことができたんですよね。無量坂先生としては、陽菜が声を当てていなかったらモモミというキャラクターを世に出すことはなかっただろうから陽菜に対して「ありがとう」で、陽菜としては無量坂先生がモモミというキャラクターを生み出していなければただのモブで終わっていたから先生に対して「ありがとう」なんですよね。僕は一般人なので当然そういう経験はありませんが、原作者から「ありがとう」と言われるというのは本当に役者冥利に尽きるんだろうなと思いますし、特に自分に自信がなかった陽菜にとってはこうして自分の「声」を必要とされるという経験は人生においても大きな転換点となったんだろうなとも思います。ラジオ「超!CUE!&A」で陽菜役の内山悠里菜さんも「自分と重なるところがある」と仰っていましたが、声優という世界は努力が必ずしも報われる訳でも年功序列でもないので、近しい人が活躍している姿を間近で見ると焦り、妬み、劣等感などを感じることは誰にでもあると思うんですよね。もっとも陽菜はモブといえども毎週アフレコに参加できているだけ恵まれている方ではあるのですが、すぐ隣で準主役級の役を演じている舞花、そうでないにせよ名前のあるレギュラーキャラを演じている志穂やほのかと一緒に過ごしている以上、自分だけ名前のないキャラばかり演じているのには色々と思うところがあったんでしょう。そういうことを考えると、この場面の陽菜の涙には色々な感情がこもっていたんだなと思いますし、それを表現する内山さんの泣きの演技も初めてとは思えないぐらい良いものでした。

無事アフレコが終了した「ブルームボール」は、いよいよ第1話の放送を迎えます。自分達はオーディションに落ちた中でも仲間の活躍を祝って一緒に鑑賞会に参加してくれるAiRBLUEの同期たちは心が広いなといった感じですが、事務所に所属して間もないことを考えるとまだそこまで焦りがないのかなと思いました。もう少し時間が経ってくると仕事のありなしで明暗が分かれたりしてくるのでこうもいかないとは思いますが、おそらく現実の新人声優たちも最初の方は同期とこういうことをやっているんじゃないかな…と勝手に想像しています。好きな作品がアニメ化してキャラクター達が動いている様子を見るとただのファンである自分も感動してしまうので、アフレコした時点ではラフやコンテだった映像に色がつき、動画になって自分達の声が乗っている様子は声優という仕事をしていたらさぞ感動的だろうなと思います。そして、件のモモミとツバキのシーンは大幅にコンテから修正されており、モモミの表情がしっかりと表現されているカットに変更されていて、陽菜の声が作品に与えた影響が視覚的にも描写されていたのが良かったですね。ここのモモミの表情はEDの陽菜の表情とおそらくリンクさせていて(画像参照)、陽菜がモモミというキャラクターを形成したことを表しているんじゃないかなと思いました。

 

ここからは本編から若干逸れますが、12話の特殊ED「さよならレディーメイド」は本当にここで流れて良かったなと思いました。

「声優デビュー」をどのタイミングとするかは諸説ありますが、個人的には「声が初めてキャラクターの声として世に出た瞬間」だと思っているので、この「ブルームボール」1話が放送された瞬間が陽菜、舞花、志穂、ほのかにとっての声優デビューの瞬間なんですよね。で、この「さよならレディーメイド」は始まりの歌だと思っていて、サビの歌詞を引用すると

紡ぐ 紡ぐ 紡ぐよ

一歩ずつが 知らない色のフレーズ

胸に響く

溢れ 溢れ 溢れそう

愛しさ震える

それはかけがえないものだから

迷うことはない

そう ここから始めるの

となっていて、声優デビューの瞬間を迎えた4人に相応しい歌詞ですし、原作アプリの方でもエンディングテーマになっているんですよね。アニメに出演することはゴールじゃなくてスタートであるということを、この曲をゲームの、そしてアニメ1クール目最後のエンディングテーマに選ぶことで端的に表しているように思いました。

さらに、今週TV放送もされますが昨年に開催されたライブ「CUE! 2nd Party 『Sing about everything』」の最初の曲も「さよならレディーメイド」であるばかりか、アニメではその直前に流れたツバキとモモミのシーンのBGMのオルゴールもライブのオープニングに使われており、まさかここで繋がるとは思いませんでした。

youtu.be

2nd Partyは原作アプリのサービスが停止している間に開催されていて、その間にあったことをライブの中で「陽菜とAiRBLUEのみんなからの手紙」として伝えるというテーマで構成されていました。その冒頭が今回の12話とシンクロしているということは、アプリとアニメで時空が違うとはいえ、手紙の中での「伝えたいこと」というのはアニメ1クール目の内容と考えられます。これに気づいた時は本当に興奮しましたし、アニメのシナリオが単なるメインストーリーの焼き直しじゃなくて良かったなと思いました。本当にCUE!というコンテンツは2次元と3次元を繋げるのが上手いというか、基本2次元の中で進むストーリーの中に3次元でのライブイベントを織り込むのが上手いんですよね。ライブを観なくてもちゃんとストーリーは成立する一方、ライブは本編のスピンオフ的な立ち位置になっていて、2次元と3次元の境界をあまり感じないように演出されているのが素晴らしいです。この辺りは2nd Party参加直後の記事に書いているので良かったら読んでもらえると嬉しいです。

take-md.hatenablog.com

 

今回は1クール目最後の回ということで、書きたいことが溢れてきてしまい、いつも以上にまとまりのない文章になってしまいました。アフレコがひと段落したことで全体のストーリーも一旦まとまった印象でしたが、4月からはすぐに2クール目が始まるということで、ここからの展開がどうなるのか楽しみにしています。1クール目ではあまり出番の多くなかったWindとMoonが中心になると思いますが、公開されたPVを観ると原作アプリの印象的なエピソードも織り交ぜられているようで、あの感動がもう一度味わえるかもしれないと期待しています。1クール目を観た感じでは個人の掘り下げがちょっと物足りない印象もありましたが、その辺りはアプリの方に任せて全体のストーリーを優先したのかなと思うので、アニメの放送が終わる頃にはアプリが再開するのかなと勝手に想像しています。まだまだ続くアニメもコンテンツ全体の展開も楽しみなので、これからもCUE!を楽しんでいきたいと思います。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」11話感想

こんにちは。

今週も更新が遅くなりましたが、これは水曜の超!CUE!&Aを聴いてから書こうと思っていたからであって決して3連休を満喫していたからというわけではないということをお伝えしておこうと思います(言い訳)。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

11話もなかなか良かったですね。10話での舞花に引き続き、AiRBLUE内では相対的に「成功者」にあたる千紗の苦悩をしっかりと描いていた回で「やっぱりCUE!はこうでなくちゃな〜」と思わされました。原作にあったエピソードを活かしつつ、さらに新潟出身設定とアニメのストーリーを組み合わせて千紗というキャラクターを掘り下げられていたいい回だったと思います。それからアニメならではのライブシーンも観られたのが良かったですね… あの「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」の制作陣らしい気合の入った作画でキャラクター達が踊る姿は、アニメ化が決定した時から楽しみにしていたので本当に嬉しかったです。

今回はプロジェクトVogel(chun×4)が千紗の地元・新潟(長岡?)でライブをするというストーリーでしたが、これまで「世話焼きのしっかり者」ポジションであった千紗がそうでいられなくなる回でした。新潟でのライブに向けて最初こそ誰よりも張り切っていた千紗でしたが、地元からの過剰な期待や応援を目にして情緒が不安定になってしまい体調も崩してしまう様子が描かれていました。感情の落差が激しすぎるのでは?という気もしないではないですが、千紗の心情を考えると納得のいくものだったと思います。時系列を追って整理すると、まず事務所で新潟遠征を告げられた時や新幹線で新潟に向かっている途中はやや不安を滲ませていた印象でした。これはやはり、家族や友人がいる地元でのライブに対して期待よりも不安の方が大きかったのだろうと思います。一方、新潟に到着してからは地元紙のインタビューやラジオ出演では質問に食い気味に答えるなど、誰よりも張り切っていた印象でした。これはおそらく実際に地元に戻ってきて緊張が少し解けたことや、地元の人たちに自分達の活動について知ってもらうチャンスであったことが理由として挙げられるかなと思います。しかし、ラジオにおいて「スターになって地元への凱旋」と過剰に持ち上げられたことで一気に表情が曇ってしまいました。それぐらい笑って流せばいいのにと思わないでもないですが、自分はまだまだ未熟だと思っている(であろう)千紗と、千紗を大スターであるかのように扱う地元の認識の齟齬にその一言で気づいてしまったということなんでしょう。そんな感じで地元ではすっかり有名人扱いの千紗は、その後もサインや写真をねだられ、夕食時にはすっかり疲れ切った様子でした。そして夕食の際、他の3人が新潟名物イタリアンに舌鼓を打ちつつ千紗の地元の様子について話していると、ついに限界が訪れます。自身と地元の人々の温度差に辟易していた千紗にとっては、3人の言葉はそれを強調するようなものに聞こえてしまったということなのでしょう。もちろん3人にそんな気がないことは千紗も分かっているので、「ごめん、空気悪くして」という一言と共に早々とホテルの自室に帰ってしまいます。翌朝も一旦はいつもの調子に戻ったように見せていましたが、会場の人だかりを目にした千紗は一気に精神的に追い詰められてしまいます。ここまでの千紗の心境としては、「まだまだ未熟な自分だから、こうやって少しずつ活動していっているのを地元の人たちに温かく見守って欲しいのに、すっかり有名人扱いで、せっかくの応援がプレッシャーにしか感じられない」といったところでしょうか。ライブ最後の挨拶で「地元でのライブ、本当はすごく怖かったんです」と言っていた通り、千紗は地元でのライブで未熟な自分を見せることに不安があったのに、過度な期待や応援に当てられてしまったことで大きなプレッシャーを感じてしまったんですね。それは千紗の姉も言っていた通り、彼女自身の性格による部分も大きいんだと思います。

そんな千紗を救ったのは家族、そしてchun×4メンバーでした。ライブ前日、千紗と電話で話した千紗の母は、電話口での様子から彼女に元気がないことを察知していました。そしてそのことを聞いた千紗の姉は、ライブ当日に電話をかけます。ここであえて千紗本人ではなくマネージャーのりおさんに電話をかけた理由は、今そばにいてあげられない自分よりも、今そばにいるマネージャーやメンバーの方が千紗にとって今必要であると考えたからだと思います。だからこそ、自身は電話で助言をするに留めて、妹のことを彼女の仲間たちに託した訳ですね。そして電話で伝えた内容には千紗の性格だけでなく、「ミルクセーキのレシピ」もありました。4話のいなり寿司とも通じる演出ですが、姉直伝レシピのミルクセーキを飲んだ千紗はようやく落ち着きを取り戻すことができました。実家を離れて暮らしたことのある人は共感できるんじゃないかなと思いますが、「思い出の味」というのは、何年も口にしていなくても覚えているものですし、それを口にした時の安心感は他の何物にも代えられないものがあるんですよね。千紗にとってはこのミルクセーキがその「思い出の味」であり、そしてそれを作ったのは姉ではなく仲間たちというのもポイントです。CUE!のテーマの一つに「仲間の大切さ」があるという話を前にもした気がしますが、このミルクセーキには「思い出」「家族の絆」だけでなく「仲間の絆」も詰まっているんですよね。だからこそ千紗はこのミルクセーキで自分が一人じゃないことを再確認し、落ち着きを取り戻すことができた訳です。

そしてライブパートですが、ここの制作陣の真骨頂ですね。9話と比べてしっかりとした振り付けがついたことによって、初披露からも練習を重ねてブラッシュアップしてきたんだな、とここまでの時間の経過を感じることができました。そして、アイドルアニメと違ってライブパートが多くないにも関わらずしっかりとしたライブシーンを作ってくれたのが本当に良かったです。最初にも言及しましたが、制作陣がほぼ「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」と共通であるが故に制作手法を踏襲しているようで、3DCGをベースに手描きすることで全体的な統一感が高かったのが印象的です。ライブシーンの重要性はそこまで高くないにも関わらず、ここまできちんとライブシーンを作ってくれたのはやはり制作陣の愛だと思います。そして、これまでずっとAiRBLUEの振り付けを担当してくださっている沢口かなみ先生の振り付けであったことも嬉しかったですね。「殻を破って顔出してるでしょう」「不安げな風に吹かれながらも」の辺りの歌詞のイメージを表現する振り付けとか、途中のフォーメーション移動なんかは特にかなみ先生「らしさ」を感じる部分で、これまでのCUE!の活動を知っている身からすると感慨深いものがありました。

そしてやはり最後の千紗の挨拶はグッと来るものがありましたね。内容自体は割と平凡といえば平凡なんですが、宮原颯希さんの演技が光っていたと思います。全体を通して今回の宮原さんの演技はとても良かったのですが、何度もリテイクしたという最後の挨拶は、まるで自分が直接ライブ会場でMCを聞いているかのような感覚に陥るほどに真に迫る演技でした。宮原さん本人もラジオで仰っていましたが、宮原さんの経験を活かした、千紗の抱えてきたもの、そしてそれを乗り越えた先のことが読み取れる本当にいい芝居だったと思います。

11話はVogel組にしては珍しく全体の構成として結構堅実だった印象が強かったですが、その分しっかりと千紗の心情描写やストーリー展開が丁寧で良かったと思います。そして初めて事務所、寮、アフレコスタジオとその周辺以外の場所が登場しましたが、この場面の移り変わりはアニメならではの感覚だなとも思います。原作でも青森や名古屋、京都などに行くエピソードはありましたが、背景が使い回しだったりしたので「地方に来た」という感覚は薄かったんですよね。その辺りは(やや行程が不自然な面はありましたが)今回しっかりロケハンした新潟の風景の中で動いていたので、「ちゃんと地方でライブをやっているんだな」という感覚になれました。今後もchun×4は地方イベントを計画しているようですが、どこか他の地域も登場するのかどうか少し楽しみです。そして次回はいよいよ1クール目ラストの12話ということで、1クール目で一旦区切りをつけるのか、それとも連続した流れで2クール目に突入するのか気になるところです。ストーリーが展開するにつれて面白くなっている印象のアニメCUE!、今後も楽しみにしています。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」10話感想

こんにちは。

今週こそはなるべく早く更新しようと思っていたのですが、旅行疲れでなかなか進まず結局こんなタイミングになってしまいました。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

10話もいい回でしたね。初めてのオーディションで主役級の役をもらった舞花は順風満帆かと思いきやそうでもないというCUE!らしいなと思えるストーリーでした。新人でありながら大きな役を貰えたことは快挙ですが、新人でもベテランでも求められる演技のクオリティは変わらないからこそ、プレッシャーを感じたり、何度も録り直したりということを丁寧に描いてくれていたのが良かったです。原作ファンとしては、これまであまり見られなかった舞花の新人らしい、そして年齢相応な一面が見られたのが嬉しかったです。

今回は主にブルームボール10話のアフレコシーンが描写されていましたが、ここまで来て居残り収録になってしまったのは、ブルームボールの物語における起承転結の「転」にあたる場面で、演技に変化が求められるにも関わらずそれに対応しきれなかったからでした。「元気がいい」ことを評価されてツバキ役に抜擢された舞花ですが、この場面では「勢いが強すぎる」と言われています。要するに緩急がつけられていなかった訳なんですね。8話で志穂が「複雑な気持ちを表そうとするとまだまだ実力が足りない」と自己評価していましたが、やはりいくらキャラクターのイメージと声や芝居が合っていても、変化を求められると対応しきれないというのは新人である以上、経験の少なさ故に仕方ないんだと思います。その上舞花は全くの新人であるにも関わらずベテランに囲まれて主役級の役を演じているため、人一倍のプレッシャーを感じて思うように演技ができなかったというのもあったはずなんですよね。だからと言って誰かに手伝いを求める訳にもいかないのが声優という仕事で、求められる演技を出力するのは最終的に自分自身でしかない訳です。冒頭で描かれていた9話のアフレコでは、何度も録り直したものの最終的には自力でOKを貰っていましたが、10話は本線での収録ではOKを貰えず居残りになってしまいました。

そんな中で舞花の演技に変化をもたらしたのは音響監督の斉田さんの助言、そして仲間の存在でした。展開としてはベタといえばベタなのですが、「助言をきっかけにキャラクターと自分を重ね合わせて演技を見直すことができた」というのは声優というか役者らしくていい表現だったなと思います。「声優は孤独な存在」というのは原作での真咲社長の発言ですが、声優に限らず役者というのは与えられた役を自分なりに解釈して出力するというプロセスを(もちろん監督によるディレクションはありますが)基本的には一人でやらなければならず、周りの人と協力して行うことが少ない仕事です。そんな中でも同じ作品を作り上げる役者たちは仲間ですし、AiRBLUEの同期はその上一緒に共同生活を送り、同じ夢を志す仲間です。目の前の役とセリフにばかり集中して周りが見えていなかった舞花に、そんな仲間の存在に目を向けるようさりげなくアドバイスしていた斉田さんは、8話でも言われていた通り優しい人なんだなと思います。それを踏まえると、舞花のいるアフレコブースに入る直前に「思い切り怒ってやろう」と言っていたのも、あえて外にいた同期3人を心配させ、窓に張り付かせることで舞花の視界に入れるという意図があったのかなと考えることもできます。そして、その助言を受けた舞花はツバキの台詞を自分と重ね合わせて演じることができ、満点の「オゥ〜ケ〜」を貰うことができました。ツバキはブルームボールをやる理由として「ブルームボールの楽しさを教えてくれた大切な人のため、真剣に戦うことの尊さを教えてくれたあの子のため」と言っていますが、それは舞花にとってのAiRBLUE同期の仲間たち、自分が声優を目指すきっかけとなった弟たちと重なるからこそ、あの演技ができたんだと思います。そしてその後の「この後、空いてますか?」に対する段平さん、のぞみさんの返事も9話アフレコ後のそれとほぼ同じながら全然ニュアンスが違っていたのは、9話時点では「近づきづらい」という印象だったのに対し、10話アフレコ後は「若手同士で仲良くなっておくべき」という意図に舞花が気づいたのを反映していたのかなと思いました。おそらく先輩たちも同じような経験をしてきたからこそ、敢えて誘いを断って若手同士の交流を促していたんでしょうね。この辺りも8話との対比になっていて面白かったです。

10話全体を通して、やはりアフレコ現場の様子は安定して面白いなと思いました。他の回が面白くない訳ではないですが、我々が断片的にしか知らない世界をしっかりと描いてくれているのでどうしても見入ってしまいます。そして今回はWind組がラジオ配信で事務所の同期の活動内容を紹介する、という体でアフレコ以外の活動をしているメンバーの様子も描いてくれているのが良かったと思います。あの描写を入れることで、現時点でAiRBLUEの出世頭である舞花とそれ以外のメンバーとの対比、そしてその舞花もその立ち位置故に苦労している、ということがより強調されていたように感じました。陽菜の「正直羨ましいって思う時もあるんだ」という台詞なんかはその最たる例ですよね。声優はキャリア関係なく仕事がある人はあるし、ない人は全然なかったりと大きな差が出る職業であるのはそうなんですが、「仕事が全然来なくて声優を諦めた」という話は時々ネット上などで話題になる一方、仕事がある人の悩みというのはあまり聞けないんですよね。最初は「このくだり必要だった?」と思っていたWindとMoonの描写でしたが、そう考えるといい構成だったんじゃないかなと思います。

アニメ版は原作アプリと違ってそれぞれのチーム毎に違う活動をしているのがいい、という話を前にもしましたが、それぞれの活動が進むに従ってその印象が強くなっています。アフレコをしているFlowerの面々ですが、ブルームボールの収録はもう10話まで来ているので、そろそろ終わりが近づいているのが気になるところですね。「声優は日々が就活」という話をよく聞きますが、オーディションは最初のブルームボール以来なかったので、そろそろ別のオーディションがあるんじゃないか?という勝手な予想をしています。そろそろ1クール目も終盤なので、2クール目の展開や主題歌も楽しみになっています。とはいえまだ1クール目もまだ11話と12話の放送が控えているので、まずは今週の11話を楽しみに待ちたいと思います。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」9話感想

こんにちは。

今週はずっと旅行に出かけていたので更新がこんなタイミングになってしまいました。この記事は帰りのサンライズ出雲の布団の上で書いています。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

9話は柚葉回でしたね。今回も基本的にはアニメオリジナル展開ながら原作のエピソードを織り交ぜていて、結果としていつものBirdらしい空気感になっていたように思います。Birdは原作でもコミカルな印象が強かったですが、アニメでもその印象は変わらず、話のテンポも良かったので楽しんで観ることができました。とはいえアニメの24分という尺では仕方のない部分もありますが、柚葉の掘り下げが少し物足りなかったかなという印象もあります。


さて、今回は柚葉回ということで原作で印象的だった柚葉の家庭事情が描かれていました。「シンガポール育ち、父は実業家で庶民離れした金銭感覚を持ち、果てはアラブの王子に求婚される」というまあ無茶苦茶なキャラ設定の柚葉ですが、そんなキャラ設定を乗りこなしてしまうあたりがCUE!で最も人気キャラである所以なんだろうなとも思います(人気キャラ発表企画「2020年CUE!声優アワード」第1位)。柚葉は実家が非常に裕福であるため、声優として仕事をせずとも生きていけるはずですし、そもそも声優としての収入など彼女の金銭感覚からしたら微々たるものであると思います。それでも彼女が声優を目指した理由として「自分の力でやり遂げたと言えるものが欲しい」と言っているんですね。実家が裕福であるため何不自由なく生きてきた彼女ですが、結局のところそれは親のコネや財力によるもので、自分の意思で何かを成し遂げたことがなかった訳です。もっとも、お金にものを言わせずに自身の努力でできることは勉強や運動など他にもあると思いますが、学者になる訳でもなければ勉強を頑張れるのは学生時代だけでしょうし、運動にしてもそうでしょう。だからこそ彼女は自分自身の力で頑張ることとして、一生ものの仕事にできる可能性がある「声優」を選んだんだと思います。ちなみにアニメでは触れられませんでしたが、原作アプリで彼女は父から借りた資金を元手に自身でアパレルブランドを立ち上げ、開業資金を返済できる程度には順調に経営していますが、それはあくまで「父からの資金援助」があったからこそ成し遂げられたことであり、100%自分の力ではないというのがポイントです(未成年では普通融資は受けられないですし)。その点声優は(養成所に通わなければですが)生活費以外の経費はほとんどかかりませんから、彼女の「自分自身の力で」という目標にも合致します。そして何より彼女は帰国子女であるため「日本のアニメが世界中で愛されている」ことを肌で感じているんですよね。実際のところ世界中で愛されるアニメというのはごくごく一部ですが、それでも映画やドラマよりはグローバルに愛されているのは事実だと思います。ここまでのことを踏まえると、柚葉が裕福な家庭に生まれ育ち、また帰国子女であるという設定はしっかりとした意味を持っているなと感じます。

そして柚葉の人柄ですが、とにかく真っ直ぐなのが一番の特徴だと思います。別に他のキャラが歪んでいる訳ではないのですが、ここまで真っ直ぐに夢を追いかけられているのは柚葉だけじゃないかなと個人的には感じています。彼女の人生の目標は「楽しく生きること」なので、突飛な発言や行動も全てそのためのことですし、基本的にネガティブなことは考えてないんですよね。チーム内では悠希もやや似た性格ではありますが、悠希は元気ではあるもののひたすらポジティブという訳ではないのに対し、柚葉は本当に根っからのポジティブな印象があります。そうでもないと「自分の笑顔には自信がある」なんて言えないですしね。笑顔といえば柚葉のトレードマークは八重歯ですが、お嬢様であるにも関わらず八重歯を矯正していないのもそれによるものなのかなと思います。特に海外では日本以上に歯列矯正が一般的ですが、柚葉はそれを自分のチャームポイントとして理解しているからこそ敢えてそのままにしていると考えられます。それは自分に自信があるからこそできることでしょうし、それだけ自信があるのはこれまで何不自由なく生活していたからなんだと思います。

原作からそうでしたが、改めて冷静に観るとなかなかぶっ飛んでいる柚葉回りの話もいいテンポ感でまとめられていて良かったなと思います。柚葉という規格外のキャラクターを描写するにはやや不足を感じなくもなかったですが、ここまでに書いた通り、柚葉のキャラクター像の重要な部分はちゃんと描けていたように思います。プロジェクトVogel全体としてもようやく本格的な活動が始まり、4人の話がこれからどう進んでいくか楽しみです。

いつもと違う環境で執筆したのでところどころ変な部分があるかもしれませんが、今回はここまでにします。ギリギリ次回の放送が始まる前に投稿できましたが、今後はもう少し余裕をもって書きたいと思います。それでは。

 

take-md.hatenablog.com

 

TVアニメ「CUE!」8話感想

こんにちは。

のんびり帰省などしていたら過去一で更新が遅くなってしまいました。反省。しかしながらその分書きたいことがまとまったような気もするので次回以降も更新遅めになるかもしれません。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

8話、良い回でしたね… 個人回1発目を飾るに相応しい出来だったと思います。原作を知る身としてはもう少し掘り下げて欲しかったなと思わないでもないですが、志穂というキャラクターの重要な要素はしっかり拾ってくれていたので良かったかなと思います。2クールあるとはいえ、8話で個人回1発目ということは今後23話まで個人回が続くことになると思いますが、最終回でちゃんとまとめられるのか?という懸念は若干あります。8話を観た感じでは完全に一人にフィーチャーしている感じではなかったので全体のストーリーも個人回の中で進んでいくんだろうとは思っていますが。

8話は5話の続きって感じでしたね。いつの間にかブルームボールは6話までアフレコが終わっているのにビビりますが、2クール目には終わっていたりしそうな気もしています。さて、ご存知の通り8話はいわゆる「志穂回」になっていて、志穂のパーソナルな部分にスポットライトが当たった回でした。志穂は初のTVアニメ収録にも関わらずここまで一度もNGをもらっておらず、傍から見れば順調な様子なのですが、志穂本人はそれに対して納得がいっていない様子が描かれています。これはアニメでは直接描かれていませんが、志穂は声優という職業に対して非常に真摯であり、声質だけを理由にキャスティングされたんじゃないかと思うような同じセリフの繰り返しにやるせなさを感じていたということなんだと思います。志穂は自身の声に対して「この声、あまり好きじゃないんだがな」と言っていますが、それが同時に強みにもなることは共演者である琴子さんにも同期であるほのかにも言われていますし、声優を目指した時点で自分でも気づいてはいるはずなんですよね。ではなぜ声優になった今もそう言っているのかといえば、特徴的な声質故に演技に対する評価がちゃんとされていないのではないかと感じているからなんだと思います。特徴的な声質というのは声優という仕事をしていく上では明確な強みであり、声質だけで仕事が来ることさえあります。しかしながら志穂はそれを良しとせず、演技を評価して欲しいと感じていた訳です。そんな中で同じようなセリフばかり、そして一度もないNGから「声質さえ合っていれば演技はどうでもいいんじゃないのか」という疑問を抱いたんだと思います。そして7話のアフレコ当日には同期である舞花と陽菜の演技をきっかけにスピンオフが生まれたという話を聞き、より演技に対してやる気を見せるそぶりがありました。個人的にはこのあたりの描写は原作よりもしっかりしていた印象でとても高評価でした。原作ではアフレコ描写があっさりしていたせいもありますが、「志穂は声にコンプレックスがあった」というエピソードはあったものの、ここまで演技に対して踏み込んだエピソードはありませんでした。しかし、アニメでは劇中劇のアフレコ描写が丁寧になったことでこのようなエピソードが生まれて、志穂の演技、そして声優という仕事に対する想いが読み取れるようになっていたのが良かったと思います。

8話においてアニメオリジナルの良かった描写は他にもあって、それはエールブルー以外の声優の存在です。原作アプリでは一切といっていいほどエールブルー以外の声優は登場しませんでしたが、アニメでは結構(というかブルームボールのキャストのほとんどはエールブルー以外の声優ですし)登場しています。今回は志穂やほのかの演じるキャラと同じチームのキャラを演じる声優が多めに登場していましたが、やはりアニメというものを作り上げるには大勢の人が必要であるということ、そしてその中でも共演者は特に仲間として大切であることが描かれていたように思います。志穂が演技に対して悩む中で、仲間であるだけではなく先輩としても寄り添ってくれる共演者の存在はきっと大きかったんじゃないかなと思います。だからこそ、音響監督に対してはっきりと意見を言うことができて、志穂の演技を一歩前進させることができた訳です(もっとも一番の要因はテーマパークのグッズをきっかけに場が和んだことですが、それも共演者と一緒に遊びに行っていたおかげですし)。一方、共演者がいることによる緊張感も描かれていたのも良かったなと思います。特に舞花は売れっ子とベテランに挟まれて胃が痛い、ということを言っていましたし、Bパートから参加のベテラン声優に対して腰が引けている番レギ組の様子など、時折声優ラジオで聞くエピソードが再現されていて、新人ならではのアウェー感を演出していたのが良かったです。このような先輩に対する緊張感や共演者の連帯感というのも原作にはなかった描写なので、アフレコ現場のリアリティを(と言っても僕は実際のそれを見たことはありませんが)増してくれているように思いました。

志穂は今回、いつもと違う「ぱーせんと」によって感情を表現しようとしたのですが、音響監督にダメ出しを貰ってしまいます。しかし、間の取り方や前後の言葉の表現で感情を表現するというディレクションを改めて貰い、それに従って演技をすることに成功しています。同じようなセリフの繰り返しだった志穂ですが、今回のアフレコで「感情の変化を演技で表現する」こと、「自分の意見を音響監督に伝える」こと、そして「NGを貰う」ことを初めて経験することができ、声優としてひとつ成長することが出来ました。それを褒める同期に対しいつも通り「ま、実力だな」と返す訳なのですが、この「実力」という言葉、Bパート冒頭の志穂の部屋のシーンで「やっぱり演技や実力で人を感動させたい?」「その声だって志穂の実力だと思うな」というほのかのセリフを踏まえるとものすごく含みがあるな〜と思います。これまでは声質だけを評価されていると感じていた志穂が、演技に変化をつけてみたり、それでNGを食らったり、直した演技を褒められたりという経験をして、声質も演技もちゃんと評価されたことを実感しての「ま、実力だな」なんですよね。生まれ持った声だけでなく、自分なりに考えて、努力して表現できた演技を褒められたらあの満足気な表情になるのも納得です。5話での陽菜と舞花と同様、志穂にとってはここが本当のスタートラインになったんじゃないかなと思う話数でした。

ここまで書いてきて、改めて8話はいい回だったなと思います。「アニメのアフレコ」という声優にとって基本であり、かつ花形となる仕事を描いているという面もありますが、とにかく描写が丁寧でした。「声にコンプレックスがあった」というのは実際に活動している声優さんからもよく聞く話ですし、鹿野志穂の声を務める守屋亨香さん自身も「声が不謹慎」とまではいかないものの似たエピソードを持っていたりするので、そこフォーカスしていたのが良かったです。さらに、「コンプレックスだった声が武器になった」というだけでなく、「声質だけでなく演技も評価されたい」という一歩進んだテーマまできちんと描いていたので、普段は飄々としているようだけれど実は声優という職業に対して人一倍真剣な鹿野志穂というキャラクターの描写、そして声優という職業をきちんと描く「CUE!」という作品自体の深みが増しているなと思いました。

最初の頃は原作ファンとしてキャラクター設定が若干ブレていたり、原作とストーリーが全然違うことに不安を覚えていましたが、8話を観てほとんど気にならなくなりました。キャラクターに多少の変化はあるものの根本の部分は変わっていないですし、ストーリーに関してはむしろ原作の突っ込みどころをだいぶ改善してくれていて、アニメの方が自然な展開になっているのが好印象です。しかもオリジナルストーリーながら要所要所で原作のエピソードを挟んできたりと原作リスペクトをしっかりと感じるのもいいです。原作アプリのストーリーがそのままアニメで観られないのは少し残念ですが、アニメがオリジナルストーリーである分二度楽しめると考えて、今後のアニメのストーリーを楽しみにしています。

 

今回はここまでにします。それでは。

 

take-md.hatenablog.com