雑記帳

オタク医学生が思ったことを書くブログ

2022年 楽曲10選

こんにちは。

いつの間にか今年も残すところ1週間を切り、年末恒例の楽曲10選の時期になりました。今年も例によって

  • 2022年に正式リリースされた楽曲
  • 1アーティスト(名義)につき1曲

というレギュレーションですが、最近は配信のみのリリースも少なくないので「正式リリース」は配信も含むこととしています。昨年の10選記事はこちら↓

take-md.hatenablog.com

 

※リリース順です

 

 

空合ぼくらは追った/AiRBLUE

作詞・作曲:渡辺翔 編曲:白戸佑輔

「CUE!」に関しては今年はいろいろとありすぎたのですが、その話はさておきAiRBLUEからはこちらを選出しました。初披露は昨年だったこともあってあまり「今年の曲」というイメージはなかったのですが、ここで紹介せずしていつするかと思ったので選びました。この曲は昨年の「CUE! Reading Live Vol.5」のテーマソングという位置付けであったので、当時と今の状況の違いを踏まえると聴こえ方も変わってくるのですが、「今」という瞬間を大切にして未来へ踏み出していくという歌詞はCUE!という作品に共通するテーマだなと思います。Dメロの

二度と来れない大切な時代を

青のせいにして力いっぱい刻みつけて歩んでいこう

というフレーズは特にその「今」を大切にするという意志を感じるのですが、ここに関しては初披露当時の状況を踏まえると

という解釈もできていたなと思い返しています。ちなみにアニメOPED主題歌も候補としては考えていたのですが、CUE!4thも終わって区切りがついたこのタイミングで選ぶのはなんか違う気がしたので外しました。

君だけのオリオン/サンドリオン

作詞・作曲・編曲:ヒゲドライバー

1月にリリースされたサンドリオン1stアルバム「märch」は、僕が聴いた中では2022年にリリースされたアルバムの中で最高のものだと思っています。僕はこのサブスク全盛時代でも(プレイリストを組むのを面倒くさがっているという面もありますが)アルバム単位で音楽を聴くタイプなので、曲単体よりもアルバムの完成度によってそのアーティストにハマるかどうかが左右されています。実際僕はこの「märch」をきっかけにサンドリオンの曲をよく聴くようになったのですが、その中でも特に良かったなと思うのがこの曲で、

飛ばさないで 消さないで

最後まで聴いてほしいんだ

ただ4分間だけの奇跡

という歌い出しの掴みの強さはもちろん、ユニット名のモチーフであるオリオン座を取り入れたストレートな歌詞がすごく刺さりました。ヒゲドライバー氏は何度も同じ言葉を重ねる表現を多用している(ex. 「ウラオモテ・フォーチュン」「回レ!雪月花」「One More Step!」など)印象がありますが、この曲のサビの

私の、声だ 声だ 声だ 声だ

君のために歌う、歌だ

という表現も、前述のストレートな歌詞との相性が良くて、聴き手にまっすぐ届けるという強い意志を感じていいなと思います。また、

数字だけ比べて 納得してる

そんな自分も 嫌いだったよ

数字だけの1,000,000回より

君の胸に残るそのたった1回が

どんなに価値があるだろう?

など、数字について言及した歌詞がありますが、先日のライブで発表されたメジャーデビューの直前に披露されたことで「メジャーデビューしても今目の前にいるファンを大切にしていく」という決意表明のように思えました。実際今までのサンドリオンはインディーズならではのフットワークの軽さがあった面もあるように思うので、メジャーデビューしても良いところは変わらずにいて欲しいなと新参ながら思っています。

 

はじまりのセツナ/蠟梅学園中等部1年3組

作詞・作曲・編曲:杉山勝彦

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「明日ちゃんのセーラー服」は1月から放送開始でしたが、2022年で、いや今後数年アニメOP曲としてこれを超える楽曲は生まれないんじゃないかと思うほどの衝撃を受けました。なんかもう

時間が止まればいいのになって思うよ

まだ何も知らない同士なのに

どうしてなの もう君のことが好き

はじまりのセツナ

っていう歌い出しからすごいですよね。初めて同年代の子供がいる環境に置かれて、時間が止まればいいと思うくらいに明日ちゃんにとっての青春がキラキラしてワクワクに満ち溢れているということが、歌詞をはじめとして楽曲全体で表現されています。そしてこの歌詞は明日ちゃんからクラスメート達に向けての想いであると同時に、特に2番以降はクラスメート達から明日ちゃんに向けられる感情も表しているような気がします。ちなみにこの曲は「明日ちゃんが憧れているアイドル『福元幹』の曲を1年3組の生徒で歌っている」という設定もあるのですが、上記の通り歌詞が明日ちゃんとクラスメートに合いすぎているので今回はこちらの方を選んでいます。また、杉山勝彦さんはアイドル曲を多く手掛けられているだけあって大人数のボーカルで映える曲作りがすごく上手い印象で、またこの透明感のある曲調が「明日ちゃんのセーラー服」という作品の世界観にこの上なく合っているなと思います。

 

ネムイケド/麻倉もも

作詞・作曲・編曲:松坂康司

イントロの小気味いいギターとあくびで落ちました。この異常に気持ちのいいギター、なんか聞き覚えあるな…と思っていたら鬼頭明里さんの「トウメイナユメ」などを手掛けれている藤井健太郎さんでした。納得。この軽快なサウンドと麻倉さんの柔らかいボーカルで、「眠いけど楽しみなことがいっぱいでウキウキしている休日」という雰囲気がすごく伝わってきます。ところどころにウィスパーで挟まれる合いの手も印象的ですね。それにしても、以前の「シュークリーム」では

本当は行きたいカフェも

話題のテーマパークも

我慢を重ねて 今日も部屋でゲーム

ねぇ何で不機嫌なの?

眠いのに起こされて

まだ怒ってるの?

と歌っていたのに対し、今回は

映画もランチも欠伸も妥協しない

だってキミがいるから

夜更かしも早起きも笑顔も大事

だってキミがいるから

となっていて、いい彼氏に出会ったな…となっています("キミ"が彼氏かどうかは知りませんが)。落ちサビ手前なんて「欲張りは素直に」とまで言ってますしね。

↑「シュークリーム」についての好きな記事です。

 

さくら草の咲く頃に/tipToe.

作詞:本間翔太 作曲・編曲:瀬名航

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tipToe.はDIALOGUE+の「夏の花火と君と青」や「花咲く僕らのアンサーを」などを手掛けた瀬名航さんが多く楽曲提供されていることをきっかけに昨年あたりから知っていたのですが、今年6月のDIALOGUE+主催の「タイバン」をきっかけによく聴くようになりました。その「タイバン」直後に発表されたこの楽曲は等身大感が強く、自分たち自身のことを歌っている印象で特に好きな楽曲です。僕自身はtipToe.のことはあまりよく知らないのですが、詞を書いているのがプロデューサー自身ということもあって、歌詞に込められた意図がなんとなく伝わってくる気がします。DIALOGUE+の曲を聴いていても思いますが、プロデューサーというアーティストのことを一番近くで見てきた人が書く歌詞ってすごくリアルで好きなんですよね。それにしても、昨年選んだ「花咲く僕らのアンサーを」といい、先に挙げた「君だけのオリオン」といい、この手のユニットが「今」を歌った曲が好きだなということに気づきつつあります。

 

八月のスーベニア/水瀬いのり

作詞・作曲・編曲:藤永龍太郎(Elements Garden)

女性声優が歌うストーリー性の強い曲がめちゃくちゃ癖(へき)です。シンプルなバンドサウンドがモノローグ的な歌詞と歌い方を引き立てて、夏の情景がありありと伝わってきます。この曲の歌詞についてどう解釈するかについては諸説あると思いますが、個人的には冒頭の「今年"は"花火が上がるらしい」という表現に2022年らしさを感じています。今年の夏はようやく諸々の制限が落ち着いてきて3年ぶりの花火大会となった場所も多かったようで、そういう時勢と重なってすごく沁みる歌詞です。そう考えると「あの夏が過ぎ去って今はもうどれくらいだろう」というのはコロナ禍を絡めて会えない期間が長くなったことを表しているのかなと思っています。この曲における「君」の個人的なイメージとしてはお盆の帰省の時にだけ田舎で会う連絡先も知らない同年代の女の子という感じで、数年ぶりに「僕」が帰省してもその子はいなくて…という状況なのかなと想像しています。たった数年で「きっと君は綺麗になっただろう」「ずっと僕は大人になったよ」というには短すぎる気もしますが、この数年の間に小学生が中学生に、あるいは中学生が高校生になったというような年代ならしっくりくる気がします。自分にそういう経験はないのですが、この曲を聴いていると存在しない青春の記憶が湧き上がってくるような感覚になります。

 

とっておきの便箋/上田麗奈

作詞・作曲:RIRIKO 編曲:Saku

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僕は特段上田麗奈さんのファンという訳ではないのですが、気づけば3年連続で上田麗奈さんの曲を選んでいます。僕は常々歌うことが本業でない声優が歌手活動を行う際に最も重要なのは「声優ならではの表現」ができているかどうかだと思っているのですが、上田麗奈さんはそれが非常に上手い印象です。上田さんはそもそも演技力に定評があり、また歌唱技術自体も声優としてはかなり高い部類だと思うのですが、歌いながら声色と息遣いで感情を表現することに関しては右に出る人がいない気がします。今回のミニアルバムもそんな上田さんの表現力を存分に活かした楽曲たちが揃っているのですが、先行配信で聴いた時からずっと耳に残っていたこの曲を選びました。手紙というテーマで、語りかけるような歌詞と歌声が心地よくて何度聴いても幸福感があります。そして歌詞で個人的に好きな点は、とにかく肯定的であることかなと思います。そもそもこの「Atrium」というミニアルバムは「肯定」をテーマにしていたそうなのですが、この曲は

ふと考えるんだ 選ばなかった未来もあったこと

それでもじゃあ もう一度戻れるなら?

同じ方を選ぶよ

どうか大切な人よ あなたもあなたでいてね

など、特にその傾向が強い気がします。2016年のRefRainから続く四季シリーズは本作で最後となりますが、その集大成として相応しい楽曲に仕上がっていると思います。

 

続く話/せるふとぷりん(cv.稲垣 好/市ノ瀬加那)

作詞・作曲・編曲:佐高陵平

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「Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-」、本当に素晴らしいアニメでした。ゆるい雰囲気の中での本格的なDIY描写、DIYを通じて広がる世界、深まる関係…どれもが美しく描かれていて、2022年を代表するアニメの一つと言っていい作品でした。そんなこの作品を彩るOP曲もED曲も素晴らしい楽曲だったのですが、今回はED曲の「続く話」を選びました。OPの「どきどきアイデアをよろしく!」はDIYを通じて広がる世界を描いた楽曲という印象だったのに対し、こちらはせるふとぷりんの関係性を描いた楽曲でした。せるふとぷりんの関係性についてはここでは語りきれないので割愛しますが、二人がお互いに対して抱いている想いが掛け合いで、さらにDIYと絡めて

ふたり 重ね組み立てて

ふたり 結んで繋いだ

さっきまでのささくれた想いが

淡く溶けて消えてく

といった表現を使って表されていたりといった歌詞はもちろん、しっとりとした曲調や語りかけるような歌い方など、曲全体で二人の関係性を表現しています。特に序盤ではかなりツンケンしていたぷりんの内面がEDで描かれることによって、今後の展開への安心感のようなものも生まれていたような気もします。

 

Rainbow FlowerS/オルタンシア

作詞・作曲・編曲:ヒゲドライバー

これは完全に個人的な思い入れで選びました。先日年内での廃業を発表された嶺内ともみさんは、僕が事務所宛てに手紙とプレゼントを贈るほどに好きな声優さんでした。そんな嶺内さんの最後のステージとなった「Re:ステージ! PRISM☆LIVE!! 4th STAGE ~Reboot~」夜の部でサプライズ発表されたこの曲は、本当に「オルタンシア」が詰まっていて、それまで耐えていた涙腺が決壊しました。僕は常々、別れを悲しい思い出にしたくないという気持ちでいるので、このライブも最後まで楽しむことを心がけていたのですが、笑顔でパフォーマンスする二人とモニターに映し出された歌詞を見ていたら十数年ぶりの勢いで泣いてしまいました。嶺内さんのオルタンシア最初の曲である「Re:Rays」もそうですが、過去から繋いできたものを繋いでいく歌詞がものすごく沁みます。ヒゲドライバーさんには足を向けて寝られません。

 

星座になれたら/結束バンド

作詞:樋口愛 作曲:内藤英雅 編曲:三井律郎

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「ぼっち・ざ・ろっく!」は、アニメという媒体でできることを全て詰め込んだような作品でした。作画クオリティに定評のあるCloverWorksらしい丁寧な画作りをはじめ、ほぼ毎話どこかにある実写パートなど、とにかく作り手が楽しんでアニメを作っているんだなというのが伝わってきた印象です。その中でもライブパートは、モーションキャプチャを利用したリアルな作画をはじめ、CD/配信音源とは別に録り直した劇中歌など、作り手のこだわりが強く出ていた印象があり、それが作品の完成度と視聴者側の没入感を高めていた印象があります。「ぼっち・ざ・ろっく!」の楽曲は14曲と1クールアニメとしては破格の待遇であり、どれも高いクオリティで迷いましたが、最終回の劇中歌であるこの曲を選びました。曲そのものとしてイントロから好みの音であり、また歌詞も「結束バンドと出会って半年が経った後藤ひとりが書いて喜多郁代が歌う詞」としてこれ以上なくぴったりとハマるものに仕上がっていて、これだけでも結束バンドの14曲の中でトップに躍り出るほどでしたが、劇中での描写でさらにそれが確実になりました。1弦は切れ、2弦はペグが壊れてギターソロに入れない後藤ひとりをバンドメンバーがアドリブで支え、そして土壇場のカップ酒スライドで切り抜けるというドラマがあったことで、この歌詞にもさらに説得力があったように思います。これは8話でひとりがギターのアドリブでバンドを支えたのと対照になっていて、バンドとして一緒にやってきたからこそピンチで支え合うことができたという描写をこの1曲の中に盛り込んでいるのが本当に素晴らしいですし、それが曲が止まることなく行われたことで、ライブのリアリティが高まっていたように思います。

 

 

今年は例年以上に聴いた曲が偏っていたこともあって10アーティスト10曲という縛りにはかなり頭を悩ませましたが、それ以上に世界にはいい曲がたくさんあることは嬉しいことです。来年も素晴らしい楽曲にたくさん出会えることを楽しみにしています。

 

最後にここで紹介した曲のプレイリストを置いておきます。それでは。

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