雑記帳

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TVアニメ「CUE!」23話感想

こんにちは。

勢いで始めてしまって毎週書いてきた感想ブログも来週で最後だと思うと少し寂しい気持ちになっています。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

23話は直近数話と比べるとドラマチックな展開がなかった印象でしたね。もっとも、22話でライブという大きなイベントを終わらせてしまったので残り2話でこれ以上大きなイベントは描けないというのはあったと思いますが、それ以上に今回は「日常」というものをテーマにした回にしたかったのかなと思います。

今回は主に「ブルームボール」最終回のアフレコを中心に描いていましたが、今までのアフレコ回と大きく異なった点があります。それはアフレコで一度もNGが出ることなくスムーズに進んだ上、最終回であるにも関わらず記念写真を撮った以外は特に何もなく終わるという、これまでのアフレコシーンと比べてかなりあっさりした描写になっていたことです。このことについて第一印象としては物足りないなと思っていたのですが、ここまでのストーリー、そして23話というタイミングを踏まえるとこういう描写にしたことに納得がいきます。

まずアフレコ中の描写について、8話、10話、17話ではそれぞれ志穂、舞花、ほのかが「普段と違う表現」について悩み、試行錯誤をしながら演技をする姿が描かれていましたが、一方で今回の利恵は大幅に変化をつけた演技が求められるにも関わらず一発OKという描写でした。事務所のスタジオでの読み合わせではスズカの演技に対して「今ひとつ物足りない」というような評価を受けていた利恵でしたが、本番できっちりと求められる演技をできたのには理由があります。まず桐香先生からの「自分を信じる」というアドバイス、これを上手く受け止められたことが一つですね。聡里も指摘していた通り「自分を信じて」「自分らしく」といった言葉は綺麗事、というか無責任に聞こえることも多いのですが、利恵はこの言葉を「今までの自分の精一杯をぶつける」という風に解釈できたことで上手く演技に昇華することができました。そしてこれまでの描写を振り返ると、利恵は朗読劇にライブにと色々と活動してきていて、特にアフレコでは噛むことが多く何度もリテイクを重ねていましたし、自分だけでなく共演者たちがリテイクを重ねてより良い演技を生み出していく過程も見てきていたはずです。そういった経験を踏まえて、それを演技に乗せることで感情のこもった芝居をすることができたのだと思います。そして二つ目、これは利恵自身のキャラクターと本能寺スズカというキャラクターに共通点があったこと、言うなれば「ハマり役」だったことが挙げられます。13話でのオーディションの際にはここまで詳細なキャラクター設定は明かされていませんでしたが、スズカには二面性、というか二重人格に近いものがあります。一方、利恵は根は真面目ながらも普段から厨二キャラを作っており、二重人格とはいかないまでもキャラクターとしてはスズカと似ている部分があります。そこが上手く共鳴して、今回利恵はスズカの演技を割とすんなりこなせたということですね。実際「ハマり役」というのはあると思っていて、今まで観てきたアニメでも「このキャラクターはこのキャスト以外あり得ないな」と思ったことは何度もありますし、CUE!アニメでも志穂の声質とアマギのキャラクターについてもそういった評価をされている描写がありました。今回の利恵は声質ではなくキャラクター性が上手くハマった形になっていて、「ハマり役」のもう一つのイメージをわかりやすく描写していたように思います。そして最後の記念写真で真ん中に写るよう促される利恵の様子は、その演技が評価されていることを強調していたような印象でした。

そしてアフレコ後の描写について、「ブルームボール」1期の最終回のアフレコを描いていた12話では陽菜と原作者の無量坂先生が感謝を伝え合うシーンが印象的でしたが、今回は記念写真を撮った描写だけに留められていました。これにも二つ理由があると思っていて、まず一つは「陽菜の演技をきっかけにモモミというキャラクターが生まれた」というドラマがあった1期に対し、今回はあくまで「もともとあったスズカというキャラクターに利恵の演技がハマった」というものなので、そこまで特別なものではないということが挙げられます。もう一つは「アフレコ自体が特別なものではなくなってきている」というものが挙げられると思います。彼女たちにとってこの作品は初めて名前のあるキャラクターを演じる機会であり、今回もそれを噛み締めながら演技をする様子が描かれていましたが、1クール目最終回の12話と比べると、今回は2クール目も終盤の23話という時間軸で、それまでにAiRBLUEのメンバーは様々なことを経験してきています。「ブルームボール」1期から出演しているメンバーは最終回というものも初めてではないですし、そうでないメンバーもモブ等で他のアニメに出演していたこともあるでしょう。そういったことを考えると、12話の頃と比べてアフレコというものは特別なものではなくなり、むしろ生活の一部になってきているはずで、今後もアニメの最終回のアフレコというものを何度も経験していくことになると思います。だからこそ今回はアフレコシーンを比較的あっさりめの描写にしたのかなと思っています。

さて、冒頭でも今回は「日常」をテーマにしていたと書きましたが、それは冒頭のシーンとCパートに濃く表れていたように思います。冒頭とラストのシーンを重ねる演出は個人的には「となりの吸血鬼さん」を思い出しましたが(あちらは第1話と最終回ですが)、服装の変化も相まって「日常が続いていく」ということを効果的に演出しているような気がします。Aパートでも凛音が「最終回のアフレコが終わったら私たちどうなってるかな」ということを言っていましたが、アニメのアフレコは始まったら終わりが来ますし、ライブも終わってしまえば次が決まるまではそこで終わりです。それでも声優という仕事を続けていく限りは何度もオーディションを受けて、受かればアフレコに参加し、落ちればまた次のオーディションにという日々を繰り返すことになりますし、それ以外にも学校に行ったりバイトをしたり、はたまたオフの時間は友達と遊んだり趣味に没頭したりと、「日常」は続いていくんですよね。しかも声優という世界にはゴールはないので、その「日常」は少しずつ変化しながら半永久的に続いていくことになります。これまではアフレコやライブといった直近の目標に向けて頑張る姿が多く描かれていましたが、それがひと段落した今回は最終回に向けて「次」のこと、それもあるかどうか分からない曖昧な未来に目線を向けていっているのかなと思います。しかも次回(最終回)のサブタイトルは1話の「はじまりのはじまり」に対して「はじまりのおわり」になっているんですよね。つまりここまでで描かれていたのはあくまで「はじまり」に過ぎず、彼女たちの声優人生はここからが本番ということを示しているんだと思います。

冒頭でも書きましたが、今回はドラマチックな展開が少なく、最終回に向けてのまとめに入った印象が強かったです。CUE!という作品は特性上ストーリーにゴールがないので、俗に言う「おれたた」エンドになるはずで、その最終回に向けてのまとめとしてよくできていたように思います。PVを観る限りは最終回もこういった「日常」を描いてふわっと終わりそうな気がしているので、アニメが終わってからのCUE!の展開がどうなるかが非常に気になるところです。いよいよ今週末に迫った最終回、楽しさと寂しさ、そして今後への期待と不安が織り混ざった気持ちで待ちたいと思います。それでは。

 

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