雑記帳

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TVアニメ「CUE!」11話感想

こんにちは。

今週も更新が遅くなりましたが、これは水曜の超!CUE!&Aを聴いてから書こうと思っていたからであって決して3連休を満喫していたからというわけではないということをお伝えしておこうと思います(言い訳)。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

11話もなかなか良かったですね。10話での舞花に引き続き、AiRBLUE内では相対的に「成功者」にあたる千紗の苦悩をしっかりと描いていた回で「やっぱりCUE!はこうでなくちゃな〜」と思わされました。原作にあったエピソードを活かしつつ、さらに新潟出身設定とアニメのストーリーを組み合わせて千紗というキャラクターを掘り下げられていたいい回だったと思います。それからアニメならではのライブシーンも観られたのが良かったですね… あの「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」の制作陣らしい気合の入った作画でキャラクター達が踊る姿は、アニメ化が決定した時から楽しみにしていたので本当に嬉しかったです。

今回はプロジェクトVogel(chun×4)が千紗の地元・新潟(長岡?)でライブをするというストーリーでしたが、これまで「世話焼きのしっかり者」ポジションであった千紗がそうでいられなくなる回でした。新潟でのライブに向けて最初こそ誰よりも張り切っていた千紗でしたが、地元からの過剰な期待や応援を目にして情緒が不安定になってしまい体調も崩してしまう様子が描かれていました。感情の落差が激しすぎるのでは?という気もしないではないですが、千紗の心情を考えると納得のいくものだったと思います。時系列を追って整理すると、まず事務所で新潟遠征を告げられた時や新幹線で新潟に向かっている途中はやや不安を滲ませていた印象でした。これはやはり、家族や友人がいる地元でのライブに対して期待よりも不安の方が大きかったのだろうと思います。一方、新潟に到着してからは地元紙のインタビューやラジオ出演では質問に食い気味に答えるなど、誰よりも張り切っていた印象でした。これはおそらく実際に地元に戻ってきて緊張が少し解けたことや、地元の人たちに自分達の活動について知ってもらうチャンスであったことが理由として挙げられるかなと思います。しかし、ラジオにおいて「スターになって地元への凱旋」と過剰に持ち上げられたことで一気に表情が曇ってしまいました。それぐらい笑って流せばいいのにと思わないでもないですが、自分はまだまだ未熟だと思っている(であろう)千紗と、千紗を大スターであるかのように扱う地元の認識の齟齬にその一言で気づいてしまったということなんでしょう。そんな感じで地元ではすっかり有名人扱いの千紗は、その後もサインや写真をねだられ、夕食時にはすっかり疲れ切った様子でした。そして夕食の際、他の3人が新潟名物イタリアンに舌鼓を打ちつつ千紗の地元の様子について話していると、ついに限界が訪れます。自身と地元の人々の温度差に辟易していた千紗にとっては、3人の言葉はそれを強調するようなものに聞こえてしまったということなのでしょう。もちろん3人にそんな気がないことは千紗も分かっているので、「ごめん、空気悪くして」という一言と共に早々とホテルの自室に帰ってしまいます。翌朝も一旦はいつもの調子に戻ったように見せていましたが、会場の人だかりを目にした千紗は一気に精神的に追い詰められてしまいます。ここまでの千紗の心境としては、「まだまだ未熟な自分だから、こうやって少しずつ活動していっているのを地元の人たちに温かく見守って欲しいのに、すっかり有名人扱いで、せっかくの応援がプレッシャーにしか感じられない」といったところでしょうか。ライブ最後の挨拶で「地元でのライブ、本当はすごく怖かったんです」と言っていた通り、千紗は地元でのライブで未熟な自分を見せることに不安があったのに、過度な期待や応援に当てられてしまったことで大きなプレッシャーを感じてしまったんですね。それは千紗の姉も言っていた通り、彼女自身の性格による部分も大きいんだと思います。

そんな千紗を救ったのは家族、そしてchun×4メンバーでした。ライブ前日、千紗と電話で話した千紗の母は、電話口での様子から彼女に元気がないことを察知していました。そしてそのことを聞いた千紗の姉は、ライブ当日に電話をかけます。ここであえて千紗本人ではなくマネージャーのりおさんに電話をかけた理由は、今そばにいてあげられない自分よりも、今そばにいるマネージャーやメンバーの方が千紗にとって今必要であると考えたからだと思います。だからこそ、自身は電話で助言をするに留めて、妹のことを彼女の仲間たちに託した訳ですね。そして電話で伝えた内容には千紗の性格だけでなく、「ミルクセーキのレシピ」もありました。4話のいなり寿司とも通じる演出ですが、姉直伝レシピのミルクセーキを飲んだ千紗はようやく落ち着きを取り戻すことができました。実家を離れて暮らしたことのある人は共感できるんじゃないかなと思いますが、「思い出の味」というのは、何年も口にしていなくても覚えているものですし、それを口にした時の安心感は他の何物にも代えられないものがあるんですよね。千紗にとってはこのミルクセーキがその「思い出の味」であり、そしてそれを作ったのは姉ではなく仲間たちというのもポイントです。CUE!のテーマの一つに「仲間の大切さ」があるという話を前にもした気がしますが、このミルクセーキには「思い出」「家族の絆」だけでなく「仲間の絆」も詰まっているんですよね。だからこそ千紗はこのミルクセーキで自分が一人じゃないことを再確認し、落ち着きを取り戻すことができた訳です。

そしてライブパートですが、ここの制作陣の真骨頂ですね。9話と比べてしっかりとした振り付けがついたことによって、初披露からも練習を重ねてブラッシュアップしてきたんだな、とここまでの時間の経過を感じることができました。そして、アイドルアニメと違ってライブパートが多くないにも関わらずしっかりとしたライブシーンを作ってくれたのが本当に良かったです。最初にも言及しましたが、制作陣がほぼ「Re:ステージ! ドリームデイズ♪」と共通であるが故に制作手法を踏襲しているようで、3DCGをベースに手描きすることで全体的な統一感が高かったのが印象的です。ライブシーンの重要性はそこまで高くないにも関わらず、ここまできちんとライブシーンを作ってくれたのはやはり制作陣の愛だと思います。そして、これまでずっとAiRBLUEの振り付けを担当してくださっている沢口かなみ先生の振り付けであったことも嬉しかったですね。「殻を破って顔出してるでしょう」「不安げな風に吹かれながらも」の辺りの歌詞のイメージを表現する振り付けとか、途中のフォーメーション移動なんかは特にかなみ先生「らしさ」を感じる部分で、これまでのCUE!の活動を知っている身からすると感慨深いものがありました。

そしてやはり最後の千紗の挨拶はグッと来るものがありましたね。内容自体は割と平凡といえば平凡なんですが、宮原颯希さんの演技が光っていたと思います。全体を通して今回の宮原さんの演技はとても良かったのですが、何度もリテイクしたという最後の挨拶は、まるで自分が直接ライブ会場でMCを聞いているかのような感覚に陥るほどに真に迫る演技でした。宮原さん本人もラジオで仰っていましたが、宮原さんの経験を活かした、千紗の抱えてきたもの、そしてそれを乗り越えた先のことが読み取れる本当にいい芝居だったと思います。

11話はVogel組にしては珍しく全体の構成として結構堅実だった印象が強かったですが、その分しっかりと千紗の心情描写やストーリー展開が丁寧で良かったと思います。そして初めて事務所、寮、アフレコスタジオとその周辺以外の場所が登場しましたが、この場面の移り変わりはアニメならではの感覚だなとも思います。原作でも青森や名古屋、京都などに行くエピソードはありましたが、背景が使い回しだったりしたので「地方に来た」という感覚は薄かったんですよね。その辺りは(やや行程が不自然な面はありましたが)今回しっかりロケハンした新潟の風景の中で動いていたので、「ちゃんと地方でライブをやっているんだな」という感覚になれました。今後もchun×4は地方イベントを計画しているようですが、どこか他の地域も登場するのかどうか少し楽しみです。そして次回はいよいよ1クール目ラストの12話ということで、1クール目で一旦区切りをつけるのか、それとも連続した流れで2クール目に突入するのか気になるところです。ストーリーが展開するにつれて面白くなっている印象のアニメCUE!、今後も楽しみにしています。それでは。

 

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