雑記帳

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TVアニメ「CUE!」10話感想

こんにちは。

今週こそはなるべく早く更新しようと思っていたのですが、旅行疲れでなかなか進まず結局こんなタイミングになってしまいました。前回の記事はこちら↓

 

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10話もいい回でしたね。初めてのオーディションで主役級の役をもらった舞花は順風満帆かと思いきやそうでもないというCUE!らしいなと思えるストーリーでした。新人でありながら大きな役を貰えたことは快挙ですが、新人でもベテランでも求められる演技のクオリティは変わらないからこそ、プレッシャーを感じたり、何度も録り直したりということを丁寧に描いてくれていたのが良かったです。原作ファンとしては、これまであまり見られなかった舞花の新人らしい、そして年齢相応な一面が見られたのが嬉しかったです。

今回は主にブルームボール10話のアフレコシーンが描写されていましたが、ここまで来て居残り収録になってしまったのは、ブルームボールの物語における起承転結の「転」にあたる場面で、演技に変化が求められるにも関わらずそれに対応しきれなかったからでした。「元気がいい」ことを評価されてツバキ役に抜擢された舞花ですが、この場面では「勢いが強すぎる」と言われています。要するに緩急がつけられていなかった訳なんですね。8話で志穂が「複雑な気持ちを表そうとするとまだまだ実力が足りない」と自己評価していましたが、やはりいくらキャラクターのイメージと声や芝居が合っていても、変化を求められると対応しきれないというのは新人である以上、経験の少なさ故に仕方ないんだと思います。その上舞花は全くの新人であるにも関わらずベテランに囲まれて主役級の役を演じているため、人一倍のプレッシャーを感じて思うように演技ができなかったというのもあったはずなんですよね。だからと言って誰かに手伝いを求める訳にもいかないのが声優という仕事で、求められる演技を出力するのは最終的に自分自身でしかない訳です。冒頭で描かれていた9話のアフレコでは、何度も録り直したものの最終的には自力でOKを貰っていましたが、10話は本線での収録ではOKを貰えず居残りになってしまいました。

そんな中で舞花の演技に変化をもたらしたのは音響監督の斉田さんの助言、そして仲間の存在でした。展開としてはベタといえばベタなのですが、「助言をきっかけにキャラクターと自分を重ね合わせて演技を見直すことができた」というのは声優というか役者らしくていい表現だったなと思います。「声優は孤独な存在」というのは原作での真咲社長の発言ですが、声優に限らず役者というのは与えられた役を自分なりに解釈して出力するというプロセスを(もちろん監督によるディレクションはありますが)基本的には一人でやらなければならず、周りの人と協力して行うことが少ない仕事です。そんな中でも同じ作品を作り上げる役者たちは仲間ですし、AiRBLUEの同期はその上一緒に共同生活を送り、同じ夢を志す仲間です。目の前の役とセリフにばかり集中して周りが見えていなかった舞花に、そんな仲間の存在に目を向けるようさりげなくアドバイスしていた斉田さんは、8話でも言われていた通り優しい人なんだなと思います。それを踏まえると、舞花のいるアフレコブースに入る直前に「思い切り怒ってやろう」と言っていたのも、あえて外にいた同期3人を心配させ、窓に張り付かせることで舞花の視界に入れるという意図があったのかなと考えることもできます。そして、その助言を受けた舞花はツバキの台詞を自分と重ね合わせて演じることができ、満点の「オゥ〜ケ〜」を貰うことができました。ツバキはブルームボールをやる理由として「ブルームボールの楽しさを教えてくれた大切な人のため、真剣に戦うことの尊さを教えてくれたあの子のため」と言っていますが、それは舞花にとってのAiRBLUE同期の仲間たち、自分が声優を目指すきっかけとなった弟たちと重なるからこそ、あの演技ができたんだと思います。そしてその後の「この後、空いてますか?」に対する段平さん、のぞみさんの返事も9話アフレコ後のそれとほぼ同じながら全然ニュアンスが違っていたのは、9話時点では「近づきづらい」という印象だったのに対し、10話アフレコ後は「若手同士で仲良くなっておくべき」という意図に舞花が気づいたのを反映していたのかなと思いました。おそらく先輩たちも同じような経験をしてきたからこそ、敢えて誘いを断って若手同士の交流を促していたんでしょうね。この辺りも8話との対比になっていて面白かったです。

10話全体を通して、やはりアフレコ現場の様子は安定して面白いなと思いました。他の回が面白くない訳ではないですが、我々が断片的にしか知らない世界をしっかりと描いてくれているのでどうしても見入ってしまいます。そして今回はWind組がラジオ配信で事務所の同期の活動内容を紹介する、という体でアフレコ以外の活動をしているメンバーの様子も描いてくれているのが良かったと思います。あの描写を入れることで、現時点でAiRBLUEの出世頭である舞花とそれ以外のメンバーとの対比、そしてその舞花もその立ち位置故に苦労している、ということがより強調されていたように感じました。陽菜の「正直羨ましいって思う時もあるんだ」という台詞なんかはその最たる例ですよね。声優はキャリア関係なく仕事がある人はあるし、ない人は全然なかったりと大きな差が出る職業であるのはそうなんですが、「仕事が全然来なくて声優を諦めた」という話は時々ネット上などで話題になる一方、仕事がある人の悩みというのはあまり聞けないんですよね。最初は「このくだり必要だった?」と思っていたWindとMoonの描写でしたが、そう考えるといい構成だったんじゃないかなと思います。

アニメ版は原作アプリと違ってそれぞれのチーム毎に違う活動をしているのがいい、という話を前にもしましたが、それぞれの活動が進むに従ってその印象が強くなっています。アフレコをしているFlowerの面々ですが、ブルームボールの収録はもう10話まで来ているので、そろそろ終わりが近づいているのが気になるところですね。「声優は日々が就活」という話をよく聞きますが、オーディションは最初のブルームボール以来なかったので、そろそろ別のオーディションがあるんじゃないか?という勝手な予想をしています。そろそろ1クール目も終盤なので、2クール目の展開や主題歌も楽しみになっています。とはいえまだ1クール目もまだ11話と12話の放送が控えているので、まずは今週の11話を楽しみに待ちたいと思います。それでは。

 

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