雑記帳

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TVアニメ「CUE!」8話感想

こんにちは。

のんびり帰省などしていたら過去一で更新が遅くなってしまいました。反省。しかしながらその分書きたいことがまとまったような気もするので次回以降も更新遅めになるかもしれません。前回の記事はこちら↓

 

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8話、良い回でしたね… 個人回1発目を飾るに相応しい出来だったと思います。原作を知る身としてはもう少し掘り下げて欲しかったなと思わないでもないですが、志穂というキャラクターの重要な要素はしっかり拾ってくれていたので良かったかなと思います。2クールあるとはいえ、8話で個人回1発目ということは今後23話まで個人回が続くことになると思いますが、最終回でちゃんとまとめられるのか?という懸念は若干あります。8話を観た感じでは完全に一人にフィーチャーしている感じではなかったので全体のストーリーも個人回の中で進んでいくんだろうとは思っていますが。

8話は5話の続きって感じでしたね。いつの間にかブルームボールは6話までアフレコが終わっているのにビビりますが、2クール目には終わっていたりしそうな気もしています。さて、ご存知の通り8話はいわゆる「志穂回」になっていて、志穂のパーソナルな部分にスポットライトが当たった回でした。志穂は初のTVアニメ収録にも関わらずここまで一度もNGをもらっておらず、傍から見れば順調な様子なのですが、志穂本人はそれに対して納得がいっていない様子が描かれています。これはアニメでは直接描かれていませんが、志穂は声優という職業に対して非常に真摯であり、声質だけを理由にキャスティングされたんじゃないかと思うような同じセリフの繰り返しにやるせなさを感じていたということなんだと思います。志穂は自身の声に対して「この声、あまり好きじゃないんだがな」と言っていますが、それが同時に強みにもなることは共演者である琴子さんにも同期であるほのかにも言われていますし、声優を目指した時点で自分でも気づいてはいるはずなんですよね。ではなぜ声優になった今もそう言っているのかといえば、特徴的な声質故に演技に対する評価がちゃんとされていないのではないかと感じているからなんだと思います。特徴的な声質というのは声優という仕事をしていく上では明確な強みであり、声質だけで仕事が来ることさえあります。しかしながら志穂はそれを良しとせず、演技を評価して欲しいと感じていた訳です。そんな中で同じようなセリフばかり、そして一度もないNGから「声質さえ合っていれば演技はどうでもいいんじゃないのか」という疑問を抱いたんだと思います。そして7話のアフレコ当日には同期である舞花と陽菜の演技をきっかけにスピンオフが生まれたという話を聞き、より演技に対してやる気を見せるそぶりがありました。個人的にはこのあたりの描写は原作よりもしっかりしていた印象でとても高評価でした。原作ではアフレコ描写があっさりしていたせいもありますが、「志穂は声にコンプレックスがあった」というエピソードはあったものの、ここまで演技に対して踏み込んだエピソードはありませんでした。しかし、アニメでは劇中劇のアフレコ描写が丁寧になったことでこのようなエピソードが生まれて、志穂の演技、そして声優という仕事に対する想いが読み取れるようになっていたのが良かったと思います。

8話においてアニメオリジナルの良かった描写は他にもあって、それはエールブルー以外の声優の存在です。原作アプリでは一切といっていいほどエールブルー以外の声優は登場しませんでしたが、アニメでは結構(というかブルームボールのキャストのほとんどはエールブルー以外の声優ですし)登場しています。今回は志穂やほのかの演じるキャラと同じチームのキャラを演じる声優が多めに登場していましたが、やはりアニメというものを作り上げるには大勢の人が必要であるということ、そしてその中でも共演者は特に仲間として大切であることが描かれていたように思います。志穂が演技に対して悩む中で、仲間であるだけではなく先輩としても寄り添ってくれる共演者の存在はきっと大きかったんじゃないかなと思います。だからこそ、音響監督に対してはっきりと意見を言うことができて、志穂の演技を一歩前進させることができた訳です(もっとも一番の要因はテーマパークのグッズをきっかけに場が和んだことですが、それも共演者と一緒に遊びに行っていたおかげですし)。一方、共演者がいることによる緊張感も描かれていたのも良かったなと思います。特に舞花は売れっ子とベテランに挟まれて胃が痛い、ということを言っていましたし、Bパートから参加のベテラン声優に対して腰が引けている番レギ組の様子など、時折声優ラジオで聞くエピソードが再現されていて、新人ならではのアウェー感を演出していたのが良かったです。このような先輩に対する緊張感や共演者の連帯感というのも原作にはなかった描写なので、アフレコ現場のリアリティを(と言っても僕は実際のそれを見たことはありませんが)増してくれているように思いました。

志穂は今回、いつもと違う「ぱーせんと」によって感情を表現しようとしたのですが、音響監督にダメ出しを貰ってしまいます。しかし、間の取り方や前後の言葉の表現で感情を表現するというディレクションを改めて貰い、それに従って演技をすることに成功しています。同じようなセリフの繰り返しだった志穂ですが、今回のアフレコで「感情の変化を演技で表現する」こと、「自分の意見を音響監督に伝える」こと、そして「NGを貰う」ことを初めて経験することができ、声優としてひとつ成長することが出来ました。それを褒める同期に対しいつも通り「ま、実力だな」と返す訳なのですが、この「実力」という言葉、Bパート冒頭の志穂の部屋のシーンで「やっぱり演技や実力で人を感動させたい?」「その声だって志穂の実力だと思うな」というほのかのセリフを踏まえるとものすごく含みがあるな〜と思います。これまでは声質だけを評価されていると感じていた志穂が、演技に変化をつけてみたり、それでNGを食らったり、直した演技を褒められたりという経験をして、声質も演技もちゃんと評価されたことを実感しての「ま、実力だな」なんですよね。生まれ持った声だけでなく、自分なりに考えて、努力して表現できた演技を褒められたらあの満足気な表情になるのも納得です。5話での陽菜と舞花と同様、志穂にとってはここが本当のスタートラインになったんじゃないかなと思う話数でした。

ここまで書いてきて、改めて8話はいい回だったなと思います。「アニメのアフレコ」という声優にとって基本であり、かつ花形となる仕事を描いているという面もありますが、とにかく描写が丁寧でした。「声にコンプレックスがあった」というのは実際に活動している声優さんからもよく聞く話ですし、鹿野志穂の声を務める守屋亨香さん自身も「声が不謹慎」とまではいかないものの似たエピソードを持っていたりするので、そこフォーカスしていたのが良かったです。さらに、「コンプレックスだった声が武器になった」というだけでなく、「声質だけでなく演技も評価されたい」という一歩進んだテーマまできちんと描いていたので、普段は飄々としているようだけれど実は声優という職業に対して人一倍真剣な鹿野志穂というキャラクターの描写、そして声優という職業をきちんと描く「CUE!」という作品自体の深みが増しているなと思いました。

最初の頃は原作ファンとしてキャラクター設定が若干ブレていたり、原作とストーリーが全然違うことに不安を覚えていましたが、8話を観てほとんど気にならなくなりました。キャラクターに多少の変化はあるものの根本の部分は変わっていないですし、ストーリーに関してはむしろ原作の突っ込みどころをだいぶ改善してくれていて、アニメの方が自然な展開になっているのが好印象です。しかもオリジナルストーリーながら要所要所で原作のエピソードを挟んできたりと原作リスペクトをしっかりと感じるのもいいです。原作アプリのストーリーがそのままアニメで観られないのは少し残念ですが、アニメがオリジナルストーリーである分二度楽しめると考えて、今後のアニメのストーリーを楽しみにしています。

 

今回はここまでにします。それでは。

 

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