雑記帳

オタク医学生が思ったことを書くブログ

TVアニメ「CUE!」16話感想

こんにちは。

ここ最近更新が遅れ気味だったのですが、ライブが控えていることもあり今回は早めに更新することができました。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

16話は前回の15話以上に原作を踏襲したエピソードでした。流れとしても前回は二世タレントの聡里、今回は子役出身のまほろにフォーカスしていて、それぞれに違うバックグラウンドを抱えたキャラクター達の中でも特に濃い二人が続いていて良かったと思います。個人的には原作でも好きだったエピソードがほぼそのまま映像化されていたのが非常に嬉しかったです。

今回は全体のストーリーとしてはあまり進んでいないといえばそうなのですが、タイムカプセルを通じて過去のまほろと現在のまほろが交差し、まほろに少し変化が起きるという内容でした。まほろは16人の中で唯一子役出身であり、原作でも何かと過去と向き合うエピソードが多かったですし、まほろの人格を形成する上で子役時代の影響は大きかったはずなので、アニメでもしっかり過去の話を扱ってくれて良かったと思います。16話はモーションキャプチャのシーン以外はほぼ原作の「dig down メモリーズ」そのままという今までになく原作に忠実な回でした。一方でアニメオリジナルの14話でも物議を醸したモーションキャプチャのくだりですが、今回は過去と現在のまほろを対比する上でいい仕事をしていたように思います。小学生のまほろは子役として活動していたこともあり学校に友達がほとんどおらず、かといって仕事の場でも人間関係がうまくいっている訳ではなく孤独だった描写がありました。一方で現在のまほろはプライベートでも仕事でも、仲間そして友達として接してくれる存在がいるんですよね。プライベートの様子はここまででも何度か出ていましたが、今回のモーションキャプチャのシーンでは、バーチャル空間内でもまほろをしっかりと「仲間」として扱うメンバーの様子が描かれていて、夢の中でのまほろが共演した子役に冷たい態度を取られていたことと対比されているのかなと思いました。

まほろと美晴が名古屋までタイムカプセルを掘りに行くシーンは(僕の記憶が正しければ)セリフ含めてほぼ原作通りだったと思うのですが、改めて見返したこと、そして映像がついたことによって新しい発見がいろいろあったなと思います。タイムカプセルに入っていた小学生のまほろの作文には「大人になってもあなたは孤独ですか?」とありましたが、今のまほろは孤独ではないということが美晴が同行していたことによって強調されていましたし、そもそも美晴がいなければまほろはタイムカプセルを開けることはなかったと考えると、本当にいい仲間と出会えたんだなと思わされます。まほろは過去にあまりいい思い出がなく、名古屋に来てからもタイムカプセルを開けることを渋っていたのですが、美晴が帰ろうとするまほろを引き止めたおかげでタイムカプセルを開けることができ、過去と向き合って改めて前を向くことができました。美晴が同行してきた理由は、そうでもしないとまほろはタイムカプセルを開けないだろうと予想していたのか、単にまほろのことをもっと知りたかったのか、はたまた小旅行を楽しみにしていただけなのか謎ですが、人のことを見透かしているようなことが多い一方で自分の腹の中は明かさないのが正しく美晴だな〜などとよくわからない感想を抱いています。

まほろの過去に関しては、小学生という友達を作るハードルが人生で最も低い時期にさえ友達がおらず孤独を感じていたというのはなかなかしんどいなと思うものがあります。まほろ本人は平気だったと言っていますが、それがまほろの人格形成に大きく影響したのは間違いないでしょうし、だからこそ初期のまほろは周囲とあまり関わろうとしていなかったんだと思います。SNSを積極的に更新していたのも友達がいない故の行動と考えると納得がいきますし、一人称が「まほろ」なのもあんまり人と関わってこなかったからなんだろうなと思います。こうしてまほろが置かれていた環境を描くことで、芸歴が長いこともあって仕事に対しては達観している印象がある一方、人間関係はやや不器用なまほろのキャラクター像に説得力が出るなと思いました。

原作の方ではもっと顕著ですが、アニメでも1話を改めて見返してみると、まほろはAiRBLUEに入ってから随分丸くなったように感じます。それは今まで孤独に生きてきたまほろがようやく心を許せる友達と出会えたからに他ならないのですが、かといって過去の自分を否定している訳ではないのもポイントですね。友達のいないまま生きてきた過去があったからこそ、ようやく出会えた信頼できる仲間の存在がまほろにとって特別な存在になり、そしてまほろの考え方や人生を変えていくんだろうなと思います。特に作文を読み終わった後のシーンは、今の自分にはいい友達がいるということを改めて自覚したまほろと、それを確かめるように手を取る美晴の構図が本当に美しく、挿入歌の「雫の結晶」と相まって非常に感動的でした。僕もまさかここで雫の結晶が流れるとは思っていませんでしたし、「おいていかなくちゃ 今までの痛みを もっともっと幸せになるために」というまほろの歌い出しはもちろん、「ぎゅっと繋いだ手」のタイミングも完璧で、このシーンのために作った楽曲なんじゃないかとさえ思いました。帰りの新幹線での美晴とのツーショットも、まほろがいつもの外向きの笑顔ではなく、少し照れたような素の表情で写っていて、また少し心を開いた様子が伝わってくるのがグッときました。このあたりはアニメでないと見られない表現でしたし、原作になかったシーンでもあるのでいい演出だなと思いました。

今回は珍しく原作のシナリオをかなり忠実にアニメ化した回でしたが、アニメならではの演出や前後のシーンが加わることによって、原作から好きだったエピソードがより好きになりました。欲を言えばずっとこんな感じでアニメ化して欲しかったのですが、原作を忠実に再現しようとすると何クールあっても足りないので仕方ない部分ではあります。個人的には他にもアニメで見たい原作のエピソードがいくつかあるので、今後出てくるかどうかが楽しみになりました。これまで若干キワモノ感のあったWind回も、(原作シナリオの力があるとはいえ)ここにきて結構しっかりしたストーリーになってきたので一安心しています。モーションキャプチャで作っているアニメーションが今後どのように物語を広げていくのかが気になりますが、それも次回以降のお楽しみということで今回はここまでにします。明日はライブですが、配信もあるのでこの記事を読んでくださっている方も観てもらえると幸いです。

www.cue-liber.jp

それでは。

 

take-md.hatenablog.com