雑記帳

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TVアニメ「CUE!」18話感想

こんにちは。

特に忙しかったという訳でもないのにここにきて更新が本放送ギリギリになってしまいました。反省。前回の記事はこちら↓

 

take-md.hatenablog.com

 

18話もなかなか良かったですね。ちょうど直前にBlu-Ray2巻特典のReading Liveを観て原作ストーリーの復習をしていたので、「そういえばこんなエピソードあったな〜」と思いながら観ていました。それにしても2クール目に入ってから原作エピソードが結構織り込まれていて嬉しいです。

今回は回想シーンが最も多かった回でした。まず最初のシーンでは鳴と利恵の出会いが描かれていましたが、構成が原作と逆なんですよね。原作では現在の利恵と鳴の間で静電気が起こったことをきっかけに回想シーンが始まるという構成でしたが、アニメでは先に回想を持ってきたのが面白かったです。これは原作と違ってモノローグが少ない脚本になっていたのと、回想シーンを増やしたことが要因なのかなと思います。その結果として、現在と過去のシーンが交互に流れることで利恵と鳴の間にある変わらないものが強調されていたように感じられて良かったです。そしてこの利恵との出会いのシーン(というか回想シーン全体を通してですが)、鳴の視点では他の子供たちの顔は影になっていて描かれていないのに対し、利恵だけはしっかりと顔に光が当たっているように描かれているのが鳴にとって利恵が特別な存在であることを強調していたように感じます。16話のまほろとも少し通じる部分がありますが、周囲に馴染めていなかった当時の鳴に手を差し伸べてくれた利恵は特別な存在であり、鳴にとってはそれから今まで利恵が人生の指針になっているというのがこの2人の関係性において重要な部分であるので、しっかり描いてくれていて嬉しかったです。個人的には利恵が生まれつきのオッドアイであることが驚きでしたが、原作の時点で幼少期から厨二病(厨二とは?)だったようなので、この方が自然なのかもしれません。

続いて現在の鳴ですが、基本的に無表情で感情を出さないながらも演技はそつなくこなしてしまうという周囲からは扱いに困るタイプであることが描かれています。そしてそのことを聡里に指摘された際、鳴が声優として活動する理由は「利恵がやりたいから」であることが明かされます。ではもし利恵が声優を辞めたらどうするのかという質問については「考えたことがない」と答えていますが、これは現時点での鳴の本心でしょう。原作の方ではこの問いに対しての答えは少しずつ出ていましたが、現時点では利恵のそばにいることが鳴にとっての最優先事項であるため、利恵が声優を辞めてしまったらどうなるかは鳴本人にも分からないのだと思います。

ここからは現在と過去の対比が行われながら進んでいきます。まずライブ前日に体調を崩した鳴を見舞う利恵、幼少期の遠足当日に熱を出した鳴に遠足をサボってまで会いにくる利恵が続いて描かれています。ここで特筆すべきは鳴が利恵を特別に思う気持ちは当時から一方通行ではなかったことですね。だからこそ鳴は出会ってから今まで利恵についていくことができていたのだと思います。ここで現在と幼少期の鳴と利恵を続けて描くことで、2人の関係は今でも変わっていないことが示されていますが、変わったこともあります。それは続いて部屋にやってきた聡里、そして凛音の存在です。鳴を心配してくれる存在はかつて利恵だけだったのに対し、現在はこの2人もそうであること、そして鳴だけでなくこの2人にとっても利恵が大切な存在であることが描かれています。そんな2人から自分の知らない利恵の様子を聞かされて心が揺れてしまう鳴ですが、その理由はというといわゆる嫉妬というのとはちょっと違って、幼少期から自分の行動の指針としてきた利恵が変わってしまうことへの不安が一番大きいのだと思います。幼少期の七夕のエピソードがありましたが、短冊に書く願い事も思いつかないほど「自分」を持っていなかった鳴にとって、利恵は自分を導いてくれる存在であり、その利恵が変わってしまうということは自分の人生まで変わってしまうことを意味するんですよね。そしてそのことを見透かしたように「確かに変わったかもしれない。けれど変わったのは自分だけではなく鳴もそうだし、変わることも悪いことじゃない。新しい仲間も大切だけれど、だからといって2人の関係は今まで通り変わらない」(要約)ということを伝えて鳴を安心させる利恵の姿は、これまで2人で過ごしてきた時間の長さを感じると共に、丸山利恵という人間の器を示していたように思います。いや〜、それにしてもそれを受けての「ずっと、一緒。」の声色に心のわだかまりが解けた感じが出てて良かったですね…。鳴は基本的に口数が少ない分、一言で感情を表現する場面が多いのですが、土屋さんの芝居はそれがちゃんと伝わってくるのが良いです。

そして無事快復した鳴と共にライブに臨む4人ですが、ここでも静電気の描写をはじめとして「鳴と利恵の関係が変わらない」ことがしっかり描かれていて、利恵の発言を裏付けるようになっていました。「利恵は私の光。これからも、ずっと。」というセリフは原作からそのままですが、鳴にとっての利恵がどういう存在であるかを端的に表したいい表現だと思います。それは利恵がいなければ自分は輝けないというのもそうですし、光というのは離れていても届くものでもあるので、必ずしも隣にいなくても大丈夫というニュアンスもある気がします。先程も少し書きましたが、原作の方では活動を続けるうち鳴自身にも少しずつ主体性が出てきている描写もあったりと、鳴が利恵の背中を追うばかりではなくなっていたことを踏まえるとそう受け取れるように思います。今後鳴と利恵がどのような声優になっても、あるいはなれなかったとしても、利恵と鳴はお互いに大切な存在であることに変わりはない、そういうことなのかなと思いました。

最後にライブパートですが、chun×4はほぼ止め絵だったのに対してLUNΛ ω rabbitsはバリバリに動いていたのはあくまで今回の主役はこちらということを強調していたのかなと思います。しれっとchun×4は新曲を披露していましたが、これ13話でのオーディションで歌っていた曲のメロディがそのままBメロになっているんですね(最初気づきませんでした)。地味に13話冒頭で「新曲のデモ聴いた?」という会話をしていたので、まさかそんなところに伏線があったとは…と後で気づいた時に思いました。それはさておき、LUNΛ ω rabbitsの方は今回がお披露目ライブでしたが、ライブ前後を含めてあまりそれを感じさせない描写になっていたように思います。それはこれまでに朗読劇をしたりアフレコをしたりと幅広く活動してきたが故でしょう。1クール目であまり出番がなかった彼女たちですが、その間にもしっかりと活動をしていたということをこうして伝えていて、仕事がなくても頑張り次第で成長はできるということを示していたのかなと思います。曲に関してはゴシック系の楽曲で、原作から続くMoonの雰囲気ともマッチしていて違和感なく聴くことができました。chun×4と比べるとより世界観が強いというか「キャラクターソング」感が強めで、ライブパートの水鏡を通してキャストとキャラクターを繋げる演出もそれを強調していたような気がします。キャラクターとキャストがリンクするというのはCUE!というコンテンツそのものにも通じる部分があるので、この演出は個人的にかなり好きでした。

今回は珍しく特定のキャラクター間の関係性に主軸を置いたストーリーでしたが、やはり遠見鳴というキャラクターを語る上では丸山利恵との関係性が占める比重は大きくなるので、今回の構成はなかなか良かったように思います。今回のエピソードを踏まえて、原作から変わった点もあるけれど、重要な点は変わっていないCUE!アニメも鳴と利恵の関係性みたいだなと少し思いました。変わることは少し怖いけれど、変化を受け入れるのも大切だということを改めて思い知らされ、今後のCUE!というコンテンツへの不安も少し解消したような気がします。アニメも残すところあと4分の1ですが、最後まで楽しんでいきたいと思います。それでは。

 

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