雑記帳

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TVアニメ「CUE!」21話感想

こんにちは。

最終回も近づいているのでなるべく早めにと思って書いています。前回の記事はこちら↓

 

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21話、多少突っ込みたいところはありましたが結構良い回だったと思います。PVから予想していた通り、大筋は原作通りで割とシリアスめな展開ながらも、所々にコミカルな描写を交えていて重苦しくならなかったのが良かったなと思います。細かい部分はあまり覚えていないのでどこまでが原作通りでどこからそうでなかったかは曖昧ですが、原作の悠希周りのエピソードをうまく再構築してまとめていた印象です。20話もこれぐらい上手く再構築してくれていれば良かったのに…。ただこの4人がちゃんと出てくるのはだいぶ久しぶりなので、ここまでのストーリーをちゃんと覚えていたかどうかによって評価が分かれるような気はしています。

今回は主として悠希のパーソナリティ、そしてchun×4(Bird)のチーム像がメインに描かれていたと思います。原作ファンはともかく、アニメからの方は今回の悠希の様子には驚いたんじゃないでしょうか。ここまでで見せてきた元気いっぱいな言動からは想像できないような曇りっぷりでしたが、3話Bパートで家庭事情を仄めかす発言はしています。

気になった点としては悠希の「このままじゃ声優を続けられないかもしれない」という発言、アプリの方ではもう少し話が進んでから出たものだったような気がするのですが、まさかこんなに早く出るとは思っていませんでした。確かに「仕事が決まれば認めてもらえるかもしれない」というのはアプリの方と一緒なのですが、所属して間もないのにそれは…という気がします。そもそも声優を続けるも何も始めているかどうかさえ微妙な状態で「続けられないかも」と言われましても…感は否めない気がしました。

TVアニメ「CUE!」3話感想 - 雑記帳

そもそも3話でこのような発言をしておきながら、ここまで特に何もなく活動が続けられていた理由は気になるのでその辺りの描写は欲しかったなとは思いますが、仕事がある以上は続けさせて貰えていたと考えるのが自然かなと思います。では何故今になって声優を辞めるだ辞めないだという話になっているかというと、悠希の声優活動に反対していた父親が過労で倒れたということがあります。声優活動を始めるまでは実家の手伝いをしていたところ、レッスンや仕事、さらに寮生活を始めたことによってそれができなくなってしまい、父親が過労になる原因となってしまったと感じているんでしょうね。それならば柚葉の言う通りアルバイトを雇うとかメンバーに手伝ってもらうという選択肢もあるのに何故そうしなかったかといえば、悠希の性格故だと考えられます。悠希は人に頼られることは進んでやる一方、自分から人を頼ることはあまりないんですよね。そして悠希自身、実家の食堂に対して相当なこだわりを持っていることが伺える発言を何かとしています。3話でも「実家のお店がなくなったらそれはそれで嫌だし、でも夢を諦めるのかって言われたらそれはもっと嫌だし」と自身の夢の次に実家の店を大切にしている発言をしている他、4話のいなり寿司、そして今回も納豆の混ぜ方にこだわりを見せていたりと、何かと実家の食堂や父親にまつわる話をしているんですよね。それほどに大切にしている実家の食堂をそう簡単に他人に任せられないというこだわりの強さが今回の破綻を招いたというべきなんだと思います。僕自身もこだわりの強さ故に他人に任せられなかったり人に頼れなかったりという面があるので、悠希のこういうところには共感する部分がありますね…。

そんな悠希を支えたのはやはり仲間の存在でした。この辺りは4話との対比になっている部分が多かった印象で、4話では上手くいかなくて占いに傾倒するあいりに対してあまり干渉しなかったメンバーでしたが、今回は悠希の異変を心配して部屋までやってきたり、「忙しいなら手伝う」という提案をしたりと積極的に悠希を支えようとしている姿が印象的でした。

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そして19話、20話の利恵や美晴とはまた違った悠希のリーダー像も描かれていましたね。悠希はとにかく誰にも負けない勢いがあるのが特徴で、それによって個性豊かなメンバーがまとまっていた部分があります。そんな悠希が勢いを失っているのを見て一番に心配するのはその勢いに救われたあいりでした。4話で悠希に支えてもらったあいりが今回は悠希を支える側に回る展開は王道といえばそうですが関係性のオタクとしても嬉しかったです。あいりだけでなく柚葉と千紗も、それぞれにアプローチは違えど悠希を心配している様子がしっかりと描かれていて、これまでに積み上げてきた関係値を感じました。

今回のエピソードでは特に「仲間」というテーマが強調されていた印象があります。今回の悠希のセリフにも「チームでいられるのは今だけじゃん。結局は一人一人なんだし」というものがありましたが、声優という職業において「仲間」というのがどういう存在なのかを端的に表していたと思います。何度か言及していますが、声優という職業は基本的に一人一人が別の役をもらってそれぞれに違う活動をしていくものです。そんな中でも同じ作品を一緒に作り上げて行く機会はあって、その時は確かに仲間である一方、別の作品のオーディションを受ければライバルであったり、はたまた全く無関係の仕事をそれぞれしたりということもあるでしょう。そんな声優という仕事をしていく上でも、chun×4として活動している今この瞬間は仲間であるし、もしもその活動が終わったとしても大切な友達であることには変わりがないということが「声優とか仕事とかじゃなくて、離れたくないって思って、だから私はみんなと一緒にいたいです」という悠希のセリフに込められていたように思います。僕は結構声優ラジオを聴いたりするのですが、実際に活動している声優さんにおいても共演をきっかけに仲良くなり、共演した作品が終わっても長い間プライベートでの交流があるというエピソードを聞くことは多いですし、特に新人の頃に共演した作品においてその傾向が強いように感じます。そういう意味でも、仕事仲間としてだけでなくかけがえのない友達としてお互いのことを思う様子はある意味でリアルで、そしてCUE!という作品において重要な描写であると思います。なにせこの作品のテーマソングは「Forever Friends」というタイトルですし、歌詞にも「一人じゃ生きてゆけない僕らは」とか「たとえ遠く離れる日が来ても 築いた絆はそう消えたりしない」というフレーズがあったりと、基本的には一人一人違う仕事をする声優という職業における仲間の大切さを重点に置いているんですよね。寮での共同生活という(多少無理のある)設定もそれを強調する役割があると思いますし、今回のエピソードも寮で共同生活をしていなければ成り立たなかったと思います。

それから悠希と父親の関係についてですが、当初彼女の声優活動に反対していた父親が、真咲社長から悠希の活動について聞かされたことによって声優活動を認めたという描写がありました。悠希は自身の活動についてほとんど父親に話していなかったようですが、その理由として彼女がやや完璧主義、結果主義であることが読み取れます。彼女は「何かをなし得た時」に報告するつもりだったと言っていますが、あれだけライブをはじめとした活動をしていても「何かをなし得た」と思っていないというのが面白いところです。では何をしたらそう思えるのかと考えると、彼女が声優を目指した理由であるロボットアニメに出演することなのかなと思います。3話では父親について「頑固だから〜」と言っていた悠希ですが、こういった様子を踏まえるとお互い様といった感じですよね。変な意地を張らずに最初から父親にちゃんと話していれば今回のような展開にはならなかったのではないかと思うと悠希自身の責任になる部分が多いのですが、そのあたりはやはり15歳という一般的には反抗期にあたる年齢の彼女の歳相応な部分なのかなと感じます。結局は声優活動を父親に正式に認められた悠希ですが、ここで少し気になるのはそれによって父親の過労は解消するのかというところです。直接描写がなかったので完全に憶測ですが、悠希が戻ってくる前提でいたところを、声優活動を正式に認めることによって悠希がいなくても店を回せるように人員を増やすなどの対応をしたのかなと考えています。このあたりはもう少し描写があってもいいのかなとは思いましたね。

それから真咲社長の存在も大きかったですよね。2クール目に入ってからさらに存在感を増している気がしますが、基本的にはそれぞれの自主性に任せつつも指針はしっかり示していますし、迷った時には的確なアドバイスをする姿を見せていました。さらに今回はメンバー間の話にはあまり介入せずに悠希の父親と大人同士の話し合いをして解決に導く姿が描かれていて、基本的には裏方役ながらも声優のタマゴ達にとって頼れる社長であり、そして声優としての先輩であることを表していたのかなと思います。

少し気になる点はありましたがなんだかんだで今回はいい回だったなと思います。原作をベースにしつつアニメオリジナル要素を織り交ぜてうまくまとまっていた印象ですね。先程も書いた通り悠希の家庭事情についてもう少し細かい描写があればさらに良かったと思いますが、尺の都合など考えると難しい部分もあると思いますし、あえて描かないことで想像に任せるという面もあったのかなとも思います。それにしてもこの記事を書くにあたって観直していた3話や4話からだいぶ演技が良くなっていた印象があります。ゲームとは違うアニメのアフレコに慣れてきたんでしょうけど、こうやってキャラクターだけでなくキャストの成長も感じられるのもCUE!の魅力ですよね。そして次回のサブタイトルが「Forever Friends」、さらに背景画像はライブ会場ということで結構驚いています。誰もが最終回に持ってくると思っていたライブを22話というタイミングで入れてくることにどういう意図があるのかとても気になっていますが、来週までのお楽しみということで放送を待ちたいと思います。それでは。

 

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